~中古マンション流通レポート2022年1月vol1~
しかし、コロナ禍により価格は下がるどころか価格はどんどん上昇していき、2022年を迎えた現在でも上昇基調にあります。
東京都23区の中古マンション流通マーケットは、バブル崩壊以降、前例のないほど価格が高騰。2021年12月期には、バブル崩壊以降平均坪単価が過去最高値を更新しています。
そこでマンションナビを運営するマンションリサーチ㈱は、2019年~2021年にかけての「中古マンション価格推移」「売出戸数増減率」「販売期間」の3つのデータを東京23区と大阪市で比較し、東京都23区の中古流通マーケットの実態を検証いたしました。
- 【東京都23区・大阪市】2019年~2021年中古マンション価格推移
【東京都23区】
データ1:東京23区月次平均坪単価
マンションナビ調べ
坪単価は、1度目の緊急事態宣言が出た2020年4月に一時的に下がりましたが、2020年後半から高騰基調に。2021年からはさらに加速しています。
2021年12月の坪単価「328.2万円」はバブル以降最高値です。
【大阪市】
データ2:大阪市月次平均坪単価
マンションナビ調べ
大阪市もコロナ禍で一時的に価格が下がったものの、2020年後半から高騰基調に転じ、2021年に加速している点は東京23区と同様です。
■前年比増減率を23区と大阪市で比較
データ3:前年度平均坪単増減率
マンションナビ調べ
東京都23区、大阪市、いずれも中古マンションの坪単価はこの2年間で大きく増加しました。ただその傾向は同じでも、坪単価の増減率には上記のように大きな差があります。
とくに、2021年は大阪市と比較して東京都23区の高騰率は著しく、1年で1割以上の高騰。価格上昇ペースが非常に早まっています。
- 【東京都23区・大阪市】 売出戸数増減率
2019年の消費税増税、そして新型コロナウイルス感染症拡大によって、中古マンションの価格は下落することが予想されていました。しかし実際には、2020年、2021年と継続的な高騰。その背景の1つに、コロナ蔓延という異常事態により、中古マンションの売り控えが起こったことが挙げられるでしょう。
つまり、供給不足により市場の需給バランスが崩れたことが価格高騰に起因したものと考えられます。
データ4:2019年度比売出戸数増減率
マンションナビ調べ
コロナ禍前の2019年と比較すると、2020年、2021年の中古マンション売出戸数増減率は上記の通りです。いずれも大幅に減少していますが、2020年の東京都23区の減少率が際立っています。
2021年は、2020年と比較して東京23区では回復している一方、大阪市では悪化していることもわかります。単純に供給量だけ見れば、2021年は大阪市のほうが価格上昇圧力が強くかかるはずですが、前述の「データ3」の価格の上昇率をみると東京23区が大阪市の高騰率を凌駕しているのです。
- 【東京都23区・大阪市】販売期間
データ5:東京都23区・大阪市売出開始からの販売期間
マンションナビ調べ
上記グラフは、東京都23区(オレンジ)と大阪市(青)の各月ごとに販売が完了した中古マンションの売出開始から販売完了までの経過日数の平均値を表しています。この期間が短いほど物件がすぐに売れるということを示しており、需要が高いと判断できます。
大阪市は、2020年7月~11月ごろにかけて一時的に販売期間が伸びましたが、全体的には横ばいの状態が継続。一方で、東京都23区は2021年に入ってから販売期間が明らかに短縮化しており、この傾向は直近の調査まで継続しています。
すなわち、東京都23区の中古マンション高騰には「供給不足」以上に「需要促進」が大きく影響していると考察できます。
■“異常”なまでの東京都23区の中古マンション高騰は「需要の膨らみ」が大きな要因か?
2021年12月、東京都23区の中古マンション価格は過去最高値を更新しました。供給側面だけから見れば、東京23区の売出数は大阪市と比較して増加傾向にあるため、ここまで価格が高騰することは考えづらいといえます。
一方で、東京都23区では、2021年以降、販売期間が著しく短期化。以上のことから、供給数が回復傾向にあるものの需要の膨らみがそれを凌駕し、バブルの様相を呈していることが、中古マンションの価格高騰の大きな要因となっていると考えられます。
供給量の回復傾向が見られても、なおも高騰を続ける中古マンション価格。今後、下落要因となりうるのは、住宅ローン金利に影響を与える(需要抑制効果を与える)長期金利の利上げ等による需要の押し下げだと筆者は推測します。
※本記事詳細
https://t23m-navi.jp/magazine/editorial/news/2021-dec/
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