土曜日, 3月 14, 2026

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「港区は強気、湾岸は慎重」。再販マンションが示す東京マンション市場の転換点

データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

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「港区は強気、湾岸は慎重」。再販マンションが示す東京マンション市場の転換点

データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

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「港区は強気、湾岸は慎重」。再販マンションが示す東京マンション市場の転換点

データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

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データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

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「港区は強気、湾岸は慎重」。再販マンションが示す東京マンション市場の転換点

データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

エントランスから各住戸玄関のセキュリティ解除に加え、共用部予約まで“オール顔認証”を実現 賃貸レジデンス「パークアクシス横浜伊勢佐木町通り」竣工

顔認証ひとつで暮らせる、次世代のスマートライフを提供 竣工までの施工の様子を紹介、「つくり手の想い」を伝える展示ベントも開催本物件の特長 1.エントランスから各住戸玄関まで、顔認証のみでセキュリティ解除を完結する“オール顔認証”を実現。 2.共用施設は顔認証IDで予約可能。次世代照明を採用した上質で心地よい共用ラウンジ空間で、スマートで快適なシェアスペース利用をサポート。 3.竣工までの施工の様子を紹介、「つくり手の想い」を伝える入居者向け展示イベントを開催。  三井不動産レジデンシャル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:嘉村...

天草の水産物の魅力を、地域の方々により身近に感じていただけるようにしたい

天草漁業協同組合(令和5年9月1日着任)宮﨑恵太新たな地域おこし協力隊員、地域おこし協力隊インターン参加者を募集しています! 募集情報は天草市HPのほか、毎週火曜日13:30~放送の「みつばちラジオ(FM88.8MHz)」や天草市ふるさと住民登録者に対しても随時配信中です。 <地域おこし協力隊員> (1)【3/13(金)申込〆】農林整備課所属1人 (2)【3/31(火)申込〆】(一社)デジタルアート天草所属1人 詳しくはコチラ➡https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji00314056/index.html <地域おこし協力隊インターン参加者> (1)【随時募集】牛深ライフ遊学18人程度 詳しくはコチラ➡https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji00313863/index.html (2)【4/30(木)申込〆】インディーゲームインターン参加者5人 詳しくはコチラ➡https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji00314088/index.html (3)【4/30(木)申込〆】御所浦地域おこし協力隊インターン参加者4人程度 詳しくはコチラ➡https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji00314097/index.html 水産現場に近い立場を活かし、海の恵みを料理を通してより多くの方に味わっていただきたい―まずは天草に来られた経緯を教えてください。 「東京でのシェフ経験を経て、長野の店舗立ち上げに関わっていた頃、義父が亡くなったことをもあり、将来のビジョンを改めて考える契機でした。そのタイミングで天草漁協配属の地域おこし協力隊の募集を知り、料理人としてのこれまでの経験を活かして貢献できること、天草の特産である水産関係の仕事に携わりたいという思いから応募に至りました。」 生産者に近い関係を活かして新しい挑戦ができる場として、天草を選んだ宮﨑さんですが、着任早々次々と独自のメニュー創りなどに取り組みます。 宮﨑さんのInstagram(@miyazaki_keeta)や天草市の広報誌、天草漁業協同組合HP内の「漁港レシピ」などを見ますと、これまで創作されたメニューが一覧できます。 どれも天草食材をテーマにした料理ですが、フリット、リゾット、テリーヌ、カルパッチョ…聞きなれないことばにドキドキします。写真でみる料理はどれも格別な装い、味わってみたいという衝動にかられます。 料理人目線による豊かな天草の水産物を使った商品開発やブランディング―協力隊としての三つのミッションについて伺いました。 一つ目は、未利用魚を価値あるものとして活用した商品開発、すでにブランド化された海産物をさらに加工品として商品開発するなど天草が誇る海産物のブランド化推進に関する業務を行う。 二つ目、天草の食材を使った料理をSNSで発信、...

エー・ディー・ワークスのオフィス区分所有権事業「ARISTO PLUS」第一号商品の全10区画が総額13.8億円で完売

~全国の金融商品販売チャネルを活用した新規事業 初号で販売モデルを確立、人材リソース集中により事業拡大フェーズへ~ 株式会社ADワークスグループ(所在地:東京都千代田区、代表者:代表取締役社長CEO田中秀夫、以下「ADWG」)の子会社で、収益不動産事業を展開する株式会社エー・ディー・ワークス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木俊也、以下「ADW」)は、オフィス区分事業における第一号商品「ARISTO神田」の全10区画(販売総額13.8億円)が完売したことをお知らせします。  本商品は、ADWにとって新規事業として取り組むオフィス区分商品であり、販売開始当初は商品特性や顧客ニーズ、提案方法の検証を行いながら販売活動を進めてまいりました。その後、販売ノウハウの確立および顧客ターゲットの明確化が進んだ2025年秋以降、成約が本格化し、限定的な人員体制の中、約4ヵ月半の期間で全区画の契約獲得に至りました。  ...

Holiday Recipes

データが示す価格上昇の実態 東日本不動産流通機構の公表データによれば、首都圏における2026年2月の中古マンション成約㎡単価は、前年同月比で70ヶ月連続の上昇を記録しました。さらにその水準は、1990年9月のバブル期の価格を上回ったとされています。これは統計上、首都圏中古マンション市場がバブル期を超える価格水準に到達したことを意味します。 この事実だけを見ると、「首都圏のマンション市場は全面的にバブルを超える高騰局面にある」と捉えられるかもしれません。しかし実際の市場構造を詳細に分析すると、首都圏全体が一様に高騰しているわけではないことが分かります。 首都圏の価格上昇を牽引しているのは、主に東京都、特に東京23区の市場です。東京都の価格上昇率が極めて高い一方で、神奈川県、千葉県、埼玉県の中古マンション価格は比較的穏やかな推移を続けています。つまり、統計上の「首都圏平均」の上昇は、東京都の急騰によって押し上げられている側面が強く、地域ごとの実態には大きな差が存在しているのです。 このように、首都圏中古マンション市場は表面的にはバブル期を超える水準に達したものの、その内実は「東京都の突出した上昇」と「周辺エリアの比較的安定した推移」という二層構造になっていると言えます。 マーケットを映す鏡再販マンションの動向に注目する理由東京都、特に23区の中古マンション市場の実態を把握するうえで、非常に重要な指標となるのが「再販マンション」の動向です。 再販マンションとは、不動産会社が中古マンションを買い取り、リノベーションや設備更新などを行うことで付加価値を高め、再度市場に販売する物件を指します。いわば中古住宅市場における「プロの投資判断」が直接反映された商品と言える存在です。 一般の個人売主による売却とは異なり、再販マンションの場合、不動産会社は自らの資金を投入して物件を取得します。そのうえで、リノベーション費用や販売コストをかけ、一定の利益を見込んで再販売を行います。つまり、不動産会社は将来の市場価格を見通したうえで投資判断を下していることになります。 このため、再販マンションの供給量やエリア分布は、不動産のプロがどのエリアに将来の価格上昇余地を見出しているのかを示す重要な指標となります。言い換えれば、再販マンションの動きは、中古マンション市場の先行指標として非常に高い分析価値を持つと言えるでしょう。   2024年の急増と2025年の安定再販マンション流通量の変化東京都23区における再販マンションの新規売出数を見ると、市場の変化が明確に表れています。   2024年の再販マンション新規売出数は前年比で22%増と、非常に大きな伸びを示しました。これは近年の不動産価格上昇局面の中で、多くの不動産会社が中古マンション市場への投資を拡大した結果と考えられます。市場の上昇局面では、不動産会社にとって再販ビジネスの採算性が高まりやすく、参入企業や取引件数が増える傾向があります。 しかし2025年になると状況は変化し、再販マンションの新規売出数は前年比マイナス2%となりました。これは前年の急増に比べると、ほぼ横ばいに近い水準です。 この結果から読み取れるのは、2024年に一気に供給が拡大した後、2025年には需要と供給が一定の均衡状態に入った可能性です。言い換えれば、不動産会社による再販投資が過度に加熱することなく、市場がある程度安定した状態に入っているとも考えられます。 再販マンションという視点から見る限り、現在の東京23区の中古マンション市場は、価格上昇は続いているものの、急激な供給拡大によるバブル的な過熱状態には至っていない可能性が示唆されます。   港区で続く強気の投資判断再販マンションが集中するエリア次に、再販マンションの増加率をエリア別に見ていくと、東京23区の中でも異なる動きが見えてきます。 港区では、2024年の再販マンション増加率が前年比11%と一定の増加を示し、さらに2025年には17%と増加率が拡大しました。これは不動産会社が港区市場に対して引き続き強気の見通しを持っていることを示唆しています。 特に港区の中でも「浜松町」「港南」「麻布台」「三田」といったエリアでは、2025年に再販マンションの供給が大きく増加しました。 これらのエリアに共通する特徴として、大規模再開発の進行や象徴的なタワーマンションの建設が挙げられます。都市機能の高度化やインフラ整備によって、将来的な資産価値の上昇が期待されるエリアであるため、不動産会社にとっても再販ビジネスの出口価格を高く設定しやすい環境が整っていると考えられます。 また、港区は富裕層や海外投資家などの投資需要が非常に強いエリアでもあります。実需中心の住宅市場とは異なり、投資資金が流入しやすい環境であることも、再販ビジネスが成立しやすい要因の一つと言えるでしょう。   湾岸エリアで見られる投資の調整中央区でブレーキがかかった理由一方で、中央区の湾岸エリアでは港区とは対照的な動きが見られました。 中央区では、2024年の再販マンション増加率が前年比45%と急激な拡大を見せました。これは湾岸エリアの人気上昇とともに、多くの不動産会社が再販ビジネスに参入したことを示しています。 しかし2025年になると状況は一転し、再販マンション増加率は前年比マイナス2%となりました。特に「晴海」「勝どき」といった湾岸エリアでは、再販投資が急速に減速する動きが見られています。 これらのエリアは、投資需要だけでなく、ファミリー層を中心とした実需需要も強い地域です。しかし近年の急激な価格上昇によって、実需層が購入できる価格帯を大きく超える水準まで市場価格が上昇しました。 結果として、不動産会社にとって再販物件の「出口価格」を設定することが難しくなった可能性があります。つまり、投資として仕入れた物件を十分な利益を確保して販売できるかどうかの見通しが不透明になり、結果として新たな投資を控える動きが出てきたと考えられます。   市場の持続性を左右する実需首都圏中古マンション価格がバブル期の水準を上回ったとされる現在、その価格構造は大きく変化しつつあります。 特に注目すべきなのは、投資需要と実需需要のバランスです。過剰な投資マネーが市場に流入し、実際に居住するための需要を圧迫する状況は、住宅市場の持続性という観点から見ると非常にリスクの高い状態と言えます。 日本の中古マンション市場は、基本的に実際に住むための「実需」によって支えられてきました。投資需要が市場を押し上げる局面はあっても、最終的に市場を支えるのは居住目的の購入者です。 その意味で、再販マンションの動向は今後の市場を占う重要な指標となります。不動産会社がどのエリアで投資を拡大し、どのエリアで投資を抑制しているのか。その動きを読み解くことによって、東京23区の中古マンション市場の構造変化がより鮮明に見えてくると言えるでしょう。   筆者プロフィール 福嶋...

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