日曜日, 4月 28, 2024
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第3回 不動産投資に対する意識調査~不動産価格高騰で投資リスクに敏感~

グローバル都市不動産研究所 第21弾(都市政策の専門家 市川宏雄氏監修)

 投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。(過去のレポート一覧はこちら ⇒ https://www.global-link-m.com/company/institute/
 同研究所では、調査・研究の第21弾として、3回目となる「不動産投資に対する意識調査」を実施しました。

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  • 【01】一般消費者の投資・不動産投資に対する興味

「投資に興味あり」3年連続上昇 

  一方で、不動産投資は価格高騰の影響かリスクを懸念する意識が顕著に

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不動産投資の意識を経年比較

 グローバル都市不動産研究所(以下、「当研究所」)では、全国の20代~60代の1万人以上を対象に、投資や不動産投資に対する興味・関心を尋ねる内容と、投資用不動産所有者400人に対して投資目的・投資意向を尋ねる調査を実施しました。

 当研究所では同様の調査を2021年から実施しています。今回が3回目となり、経年比較を中心にまとめました。

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①【一般】投資に対する興味 投資への興味が増す傾向

 投資に対する興味を尋ねたところ、「とても興味がある」(19.8%)、「やや興味がある」(27.0%)をあわせた46.8%が投資に「興味がある」と回答していました。「興味がある」は、一前年の41.4%から年々増えています。

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 属性別にみると、性別では男性、年代では若年層、年収では高額所得層の方が投資に興味が強い傾向は過去の結果と変わりありません。

 属性別に前年と比べると、30代~40代で「とても興味がある」が増加しています。子育て世代において、将来の子どもの進学費用や年金不安から投資に興味が増している可能性があります。

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②【一般】不動産投資に対する興味 不動産投資に対する意識が大きく変化

 不動産投資に投資に対する行動や興味を尋ねたところ、「現在不動産投資の収入メインで生活をしている」(0.8%)、「副業として不動産投資を運用している」(3.1%)、「興味があり、セミナーや説明会に足を運んだことがある」(4.3%)、「興味はあるが実際に行動したいことはない」(28.9%)で、少なからず興味を持っている層は37.1%(前年39.1%)でした。

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 属性別に前年と比較すると、全体的に「不動産投資に対して悪いイメージを持っている」が増えています。後述の分析のとおり不動産価格高騰の影響がありそうです。

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③【一般】不動産投資をしていない理由 価格高騰で投資リスク判断が敏感に

 不動産投資に対して非積極的な層に絞って、不動産投資をしていない理由(最もあてはまるものをひとつ)を尋ねました。

 この結果、「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」(48.4%)が前年同様に1位で、回答比率が増えています。さらに、「資産価値や家賃が下がるリスクがある」が30.1%で前回までの回答比率から大きく増えています。

 また「不動産の知識が無い、難しいと思っている」「地震などの災害」「少子高齢化」などが前年よりも増えており、価格面および中長期的な所有リスクを懸念していることがわかります。

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 属性別にみても、全体の回答比率と傾向は似ており、「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」「資産価値や家賃が下がるリスクがある」が高い結果でした。

 全体的に、不動産価格が高騰するなかで、投資にみあった運用ができるのか、リスクが大きくなっていると考えている傾向が確認できました。

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  • 【02】投資用不動産保有のきっかけ・目的

きっかけは「家族や友人からの口コミ」が2年ぶりに1位

50代の「老後の年金対策」が増加

④不動産投資を始めたきっかけ 口コミが1位に返り咲き

 投資用不動産所有者に絞って、不動産投資を始めたきっかけを尋ねたところ、 「家族や友人からの口コミ」 が3.5ポイント増の23.3%で1位でした。

 2位は「自分もしくは親族の土地を持っていた」が19.5%でした。前年に1位だった「パソコン・スマホ等の広告」は17.5%で3位に低下しており、 「営業の電話がかかってきた」は年々低下傾向にあります。

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 属性別にみると、若年層は「家族や友人からの口コミ」が高く、年代があがると「自分もしくは親族の土地を持っていた」が高くなる傾向がみられます。例年同様の傾向があり、若年層は中長期的な資産形成に関する口コミの影響が大きく、50代前後から相続が本格化するものと考えられます。

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⑤不動産投資の目的 資産運用目的が大半

 投資用不動産所有者に、不動産投資を始めた目的(最もあてはまるもの)を尋ねたところ、「資産運用」が62.3%で大半を占めています。「資産運用」は一前年の67.3%から5.0ポイント減少しています。「老後の年金対策」が18.8%で続いています。

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 属性別にみると、50代で前年から「資産運用」が減って「老後の年金対策」が増えており、50代から年金問題を意識する人が増加している傾向が確認できました。

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  • 【03】不動産投資家の注目エリア・物件

保有物件はワンルーム区分マンションが3年連続で増加 東京都内や横浜・川崎エリアに注目

⑥保有している物件 ワンルーム区分マンションが大幅増加

 投資用不動産保有者に保有している物件の種別を尋ねたところ、「ワンルーム区分マンション」(37.5%)が前年に続いて1位、比率も前年から増加しています。「一棟アパート」や「一棟マンション」は前年から微増となりましたが、個人の不動産投資行動は、一棟から区分にシフトする傾向が続いていることがわかりました。都区部を中心にマンションの高騰が続いているため、購入しやすさと運用益への期待から区分単位で投資を進めていると考えられます。

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⑦興味のある投資用物件 ワンルーム区分マンションに強い興味

 投資用不動産所有者に、興味を持っている投資用物件の種別を尋ねたところ、「ワンルーム区分マンション」がもっとも多く35.3%でした。

 これに「ファミリー向け区分マンション」「一棟アパート」「戸建て」が続いており、レジデンス物件が上位を占めています。

 レジデンス以外では、「事務所・店舗」が7.0%で高く、「物流・倉庫」が6.8%で次いでいます。

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⑧購入を検討したいエリア 東京都心5区への興味が高まる

 投資用不動産所有者に、購入を検討したい投資用物件のエリアを尋ねたところ、「東京都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)」がもっとも多く30.5%でした。前年に1位だった「東京その他23区」(26.5%)を抜いています。また人口増加傾向のある「東京都市部」(16.5%)、「横浜・川崎エリア」(13.8%)や「神奈川その他」(8.0%)はそれぞれ2~3㌽増加しています。

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  • 【04】都市政策の専門家 市川宏雄所長による分析結果統括

不動産価格の高騰により資金調達や投資リスクを懸念

投資家は資産価値の高い都心5区や横浜・川崎エリアに注目

 今回で3回目となる不動産投資への意識調査では、46.8%が投資に「興味がある」と回答しており、過去2年間で5.4%増加しました。特に30代~40代、エリアでは関西地区で興味が強く出ました。ただし、不動産投資をするとなると、興味はあるが実際に行動したことはないが3割弱、全く興味がないが約4割あり、すでに不動産投資をしたり、説明会に足を運んでいる人が1割に満たない状況は変わりません。

 不動産投資に対して積極的でない層にその理由を尋ねると、投資する費用が高いと考える人が半数近く、また、資産価値や家賃が下がる不安を持つ人が約3割います。不動産価格が高騰するなかで、投資に見合った運用ができるのかと不安を抱いていることが分かります。

 投資用不動産の所有者が投資を始めたきっかけは、家族や友人からの口コミが23.3%で、これに自分もしくは親族の土地を持っていたが19.5%で続きます。

 パソコン・スマホ等の広告や、営業の電話は低下傾向にあります。なお、投資を始めた目的は資産運用が6割を超えており、老後の年金対策が2割弱で続きます。ただし、50代では資産運用が減って老後の年金対策が増えています。

 保有している物件はワンルーム区分マンションが3分の1を占めて増加しています。個人の不動産投資行動は、マンション価格の高騰により一棟から区分にシフトする傾向が続いています。また、購入を検討したいエリアは東京都心5区がトップとなり、さらに都下、横浜・川崎エリアにも興味が向いています。

 人々の不動産投資への意識は高まりながらも、ここ数年の不動産価格高騰が影響して、資金調達や投資リスクを懸念するという姿がこの調査で垣間見えます。ただし、資産価値の高い都心5区の物件に興味を示すなど、投資意欲は低下していないことが分かります。

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  • 取材可能事項

・氏名   :市川 宏雄(いちかわ ひろお)

・生年月日 :1947年 東京生まれ(75歳)

【略歴】

 早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士。世界の都市間競争の視点から大都市の将来を構想し、東京の政策には30年間にわたり関わってきた東京研究の第一人者。

 現在、明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。

・氏名      :金 大仲(きむ てじゅん)

・役職      :株式会社グローバル・リンク・マネジメント 代表取締役

・生年月日  :1974年 横浜生まれ(49歳)

【略歴】

 神奈川大学法学部法律学科卒業。新卒で金融機関に入社。

 その後、家業の飲食店を経て大手デベロッパー企業に転職し年間トップセールスを達成。そこでの経験を経て30歳の時に独立し、グローバル・リンク・マネジメントを設立。

  • 会社概要

会社名   :株式会社グローバル・リンク・マネジメント

会社HP    :https://www.global-link-m.com/

所在地   :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階

代表者   :代表取締役 金 大仲

設立年月日 :2005年3月

証券コード :3486(東証プライム)

資本金   :553百万円(2022年12月末現在)

業務内容  :不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、販売、賃貸管理)

免許登録  :宅地建物取引業 東京都知事(4)第84454号

所属加盟団体:(社)東京都宅地建物取引業協会、(社)全国宅地建物取引業保証協会、

       (社)全国住宅産業協会、(財)東日本不動産流通機構、(社)首都圏中高層住宅協会

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