日曜日, 12月 8, 2024
ホーム商品サービスリファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%

~東京大学との共同研究により判明~

 三井不動産株式会社(代表取締役社長:菰田正信、以下「三井不動産」)は、既存躯体を再利用するリファイニング建築について、株式会社青木茂建築工房(代表取締役社長:青木茂、以下「青木茂建築工房」)の協力のもと、国立大学法人東京大学(以下「東大」)新領域創成科学研究科清家剛教授と共同研究(以下、「本共同研究」)を実施し、CO2排出量削減効果の評価を実施いたしました。現在、青木茂建築工房と計画中のリファイニング建築計画(新宿区、1971年築賃貸住宅、以下「本計画」)を対象にCO2削減効果を検証した結果、既存躯体の約84%を再利用することにより、既存建物を同規模に建替えた場合と比較し72%削減できることが判明いたしました。

■本共同研究の対象物件の概要
 本計画では、築49年の旧耐震基準の賃貸共同住宅(新宿区、地上9階建て、延べ床面積約2,610㎡、SRC造、一部RC造)をリファイニング建築により再生いたします。同建築手法は建物寿命を新築同等とするため、躯体の調査、補修を実施したうえで耐震性能を現行法規レベルまで向上させます。また、竣工後の運用時エネルギーも新築同等とするため、サッシ交換や断熱改修等を実施します。
 

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像1_イメージパースイメージパース

■本共同研究によるCO2排出量調査結果
 一般的に建物建設において、既存建物を解体し、新たな躯体建設にともない調達される鉄やセメントなどの建築資材の製造時に多くのCO2が発生します。リファイニング建築では既存躯体を再利用するため、建替えよりCO2排出量の大幅削減が可能です。
 そこで本共同研究では、製造、運搬、施工の段階のうち、最も削減効果が大きい製造段階に注目し、リファイニング建築時に使用される建築資材量を算出し、資材の製造時に排出される CO2排出量を試算しました。建替えの場合も同様に算出し、比較することで、同建築手法の削減効果を検証※しました。
 その結果、本計画における試算において、建替えの場合躯体の資材製造に伴うCO2排出量が1,761tに対して、リファイニング建築の場合既存躯体の84%を再利用するため、躯体の資材製造に伴うCO2排出量が40tとなり、建替えの場合と比べ全体でCO2排出量1,721t(約72%)の削減効果があることが判明いたしました。
 一般的にリファイニング建築は躯体の80%以上を再利用します。老朽化不動産の耐震化だけではなく、建替えと比較して建設時のCO2排出量を大幅に削減可能であるため、リファイニング建築が脱炭素社会に向けたソリューション提案の一つとなり得ることが本研究により明らかになりました。

<本共同研究における建替えとリファイニング建築のCO2排出量の違い>

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像2

<建替えとリファイニング建築における工程の違い>

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像3

※本共同研究の前提
・既存躯体の再利用率については、躯体の定義を「構造耐力をもたない雑壁等も含んだコンクリート体積の総量」として計算。なお、リファイニング建築の場合の解体量はコンクリートが311㎥、鉄筋が12tである。
・躯体投入量は図面および実測値より算出。
・躯体の資材製造に伴うCO2排出量は躯体投入量と日本建築学会公表のLCAデータベースVer.1.01のコンクリート、鉄筋、鉄骨のCO2排出単位を用いて算出。
・内外装等の工事(躯体以外)に伴うCO2排出量は、日本建築学会が公表しているLCAデータベースVer.1.01をベースに、建築資材の各項目の排出原単位に本計画の床面積を乗じて算出しており、建築資材以外の項目は考慮していない。
・建物寿命、竣工後の運用時一次使用エネルギーは建替えとリファイニング建築は同等とし考慮していない。
・運搬・施工に関するCO2排出量については、本共同研究がリファイニング建築の躯体の再利用によるCO2削減効果に着目していることから考慮していない。

■本共同研究における役割分担

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像4

国立大学法人東京大学大学院 新領域創成科学研究科教授 清家剛
1991年東京大学工学部建築学科助手を経て1999年より現職。博士(工学)。現在は環境学専攻に所属し、建築生産と環境について考える立場から、改修・解体技術や リサイクル技術、また環境に配慮するための設計・生産段階の意思決定プロセス等を研究している。「サステイナブルハウジング」、「ファサードをつくる-PCaコンクリート技術と変遷」など執筆。

株式会社青木茂建築工房 代表取締役 青木茂
一級建築士、博士(東京大学工学)。大連理工大学客員教授、日本文理大学客員教授、韓国モグォン大学 特任教授。リファイニング建築を提唱し、共同住宅をはじめ公共建築や事務所ビルなど数多くの再生建築を手がける。「長寿建築のつくりかた いつまでも美しく使えるリノベーション」「リファイニング建築が社会を変える」「建築再生 未来へつなぐリファイニング建築」など執筆。

■本計画概要
<外観(Before/After)>

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像5

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像6

【敷地概要】
所 在 地:東京都新宿区信濃町3-1
交   通:JR中央線「信濃町」駅徒歩7分 丸の内線「四谷三丁目」駅徒歩8分
用 途 地 域:第一種中高層住宅専用地域
敷 地 面 積:968.46㎡

【物件概要(予定)】
用   途:賃貸住宅(32戸) 店舗1戸
構   造:高層棟SRC造、低層棟RC造
延床面積/建築面積:2,610.42㎡/405.86㎡
建築確認申請:建築確認申請提出 (工事種別:大規模の模様替え)
検 査 済 証:検査済証取得予定
補 強 計 画:耐震壁の新設により耐震指標Is値0.6を確保
設 計 会 社:株式会社青木茂建築工房
施 工 会 社:大末建設株式会社
竣工予定日:2022年3月予定(既存建物1971年築)

■リファイニング建築の特徴
① 眺望や外観を損なわない耐震補強
耐震性能上問題のない壁や設備を撤去し、建物を軽量化したうえで独自の補強を行うことにより眺望や外観を損なうことなく耐震性能を向上させます。

② 建て替えと比較して低コスト、工期短縮
建て替えと比較して約70%のコストで設備、内外装を一新。解体と新たな躯体の建築が必要ないため、工期も短縮されます。※1

③ 検査済証を再取得し建築法規上も新築同等
建物にかかる単体規定を現行法に適合させることにより、新たな検査済証の取得を実現し、将来的な資産の流動性の確保を行います。特に構造躯体に関しては、補修の過程をすべて記録に残す「家歴書※2」を作成します。

④ 建築廃材を削減し、環境にやさしい
既存躯体の再利用により工事にかかるCO2排出量が大幅に削減できます。

※1青木茂建築工房および当社実績値。ただし物件特性により異なります。
※2東京大学生産技術研究所野城智也教授が提唱する建物の履歴書

■「老朽化不動産再生コンサルティングサービス」について
 三井不動産は青木茂建築工房と、同社の建築手法であるリファイニング建築を活用した老朽化不動産再生コンサルティングサービスに取り組んでいます。
 本サービスは、旧耐震基準の建物を中心とした老朽化不動産をご所有のオーナー様に対して、単に建築的な再生を図るだけでなく、三井不動産グループの連携により、不動産全般のコンサルティング、商品企画、賃貸管理運営等、事業的な再生までサポートし、老朽化不動産の抱える様々な課題を解決します。

リファイニング建築に関する解説動画はこちら
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/refining/02.html

<本事業の体制>

リファイニング建築®賃貸住宅 既存躯体再利用により建替えと比較しCO2排出量▲72%のサブ画像7

■三井不動産グループのSDGsへの貢献について
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわち ESG 経営を推進しております。三井不動産グループの ESG 経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。

11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

Most Popular

Recent Comments