輸入材依存から国産材活用へ。3年間で30,000m3の国産材利用を目指し、林業活性化・地方創生・脱炭素社会の実現へ
林野庁の小坂善太郎長官出席のもと、2026年5月22日、「建築物木材利用促進協定」の締結お披露目式が行われました。 農林水産省、東建コーポレーション株式会社、協和木材株式会社、株式会社ダイリFPCの4者が締結した本協定は、賃貸アパート・賃貸マンション分野において国産材の利用を組織的・継続的に推進するもので、賃貸集合住宅分野では初となります。 従来、木造賃貸集合住宅では輸入材の使用が一般的でしたが、本協定のもと、3年間で30,000m3の国産材利用を目標に、林業活性化・地方創生・脱炭素社会の実現に貢献していきます。

Ⅰ. なぜ今、国産材なのか
ウッドショックで顕在化した輸入材依存リスク
近年、世界的な木材需要の増加や物流停滞を背景に発生した「ウッドショック」により、住宅業界では木材価格の高騰と供給不足が深刻な課題となりました。ツーバイフォー工法で使用される構造材は北米産を中心とした輸入材への依存度が高く、海外市況・為替・国際物流の影響を受けやすい構造が続いていました。木造賃貸集合住宅においても、供給遅延や価格変動は建築コストや工期に直接影響し、安定的な住宅供給へのリスクが顕在化しました。
国内サプライチェーン構築へ
こうした課題を受け、東建コーポレーションは、海外情勢に左右されない「自立型の国内サプライチェーン」の構築に向け、国産材活用の検討を本格化しました。協和木材株式会社・株式会社ダイリFPCと連携し、国産杉ツーバイフォー材の供給体制を段階的に整備。品質面でも実績を積み重ね、安定供給への基盤を築いてきました。
本協定は、単なる調達切り替えではなく、輸入材を前提としてきた木造賃貸集合住宅市場に、国産材を継続的・組織的に活用する新たな供給モデルを確立するものです。国産材の利用拡大は、森林資源の循環利用・林業活性化・地域経済への波及、そして脱炭素社会の実現にもつながる取り組みとして、東建コーポレーションは積極的に推進していきます。
Ⅱ. 実は難しかった「国産ツーバイフォー幅広材」
木造賃貸集合住宅で使用される「2×8」「2×10」「2×12」といった幅広材は、これまで北米産を中心とした輸入材が主流でした。国産材での安定供給が難しかった背景には、主に3つの課題があります。
課題① 大径木不足
幅広材の製材には太い丸太(大径木)が必要です。しかし、戦後の造林政策で育成された国内人工林の多くは在来工法の柱材向けに最適化されており、幅広材用の大径木の確保は容易ではありませんでした。
課題② 乾燥技術の難しさ
国産杉は含水率のばらつきが大きく、厚みのある幅広材を均一に乾燥させるには高い技術力と時間・コストを要します。乾燥時の反りやねじれも、使える木材量が減る原因となっていました。
課題③ 国内設備不足
国内の多くの製材工場は在来工法向けに最適化されており、ツーバイフォー幅広材の量産に必要な製材設備や乾燥機を備えた工場は限られていました。
これら3つの課題に対し、協和木材株式会社・株式会社ダイリFPCはそれぞれの地域特性と技術力を活かして解決策を築いてきました。その具体的な取り組みは次章で紹介します。
Ⅲ. 福島・徳島との連携が生んだ国産材供給モデル
本協定の中核を担うのが、福島県の協和木材株式会社、徳島県の株式会社ダイリFPCとの連携です。両社はいずれもJAS認証製材工場として品質管理体制を整備しており、東建コーポレーションが年間で使用するツーバイフォー材約40,000m3を上回る供給能力を有しています。本協定で掲げる3年間30,000m3という目標に対しても、十分な供給基盤が整っています。
品質・実績が証明した国産材の可能性
ウッドショックによる輸入材不足を契機に、東建コーポレーションは両社から国産杉ツーバイフォー材の供給を受け、国産材活用を本格化しました。供給された国産材は安定供給だけでなく品質面でも高い評価を得ており、施工実績を積み重ねながら継続的な採用へとつなげてきました。
徳島県との15年にわたる取り組み
株式会社ダイリFPCは、約15年前より徳島県林業振興課と連携し、県内で増加していた大径木の有効活用に向けた研究・実証を重ねてきました。徳島県は植林時期が早く木材の成長も速い地域特性を持ち、大径木資源の活用可能性が早くから注目されていました。
山林からの長尺丸太の集材、製材ライン整備、乾燥技術など複数の条件を同時に整える必要がある中、徳島県・林業関係者・製材事業者が連携して試験・検証を重ねた結果、現在では5m幅広材の量産体制を確立しています。国内でも希少なこの供給体制は、大径木活用の新たなビジネスモデルとして業界全体への波及が期待されます。




国産材活用の新たなスタンダードへ
今回の取り組みは、単に国産材を採用するだけでなく、原木調達から製材・建築利用までをつなぐ国内サプライチェーンを構築するものです。東建コーポレーションは本協定のもと、輸入材依存からの脱却を業界に先駆けて実現し、林業活性化・地方創生・脱炭素社会の実現に貢献する国産材活用の新たなスタンダードを確立していきます。
Ⅳ. 3年間で30,000m3、ニュータウン規模の国産材利用へ
本協定では、3年間で30,000m3の国産材利用を目標としています。これは東建コーポレーションの年間ツーバイフォー材使用量約40,000m3に対するスタート段階の目標値であり、今後はさらなる利用拡大も視野に入れています。
30,000m3とはどれくらいの規模か
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13m超大型トレーラー(積載量約45m3) 約667台分
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40坪規模のツーバイフォー住宅 約1,200戸分
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学校などで使用される25mプール 約80杯分
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1m四方の塊にして積み上げた場合、高さ約30,000m(富士山の高さの約8倍相当)
一般的なニュータウンが丸ごと国産材で建てられる規模感に相当します。
木造賃貸集合住宅分野における国産材利用としては大規模な取り組みであり、林業・製材・物流を含めた国内木材サプライチェーン全体への波及効果も見込まれます。東建コーポレーションは本目標の達成にとどまらず、輸入材を前提としてきた木造賃貸集合住宅市場において、国産材の継続的な需要を創出するリーディングカンパニーとしての役割を果たしていきます。
Ⅴ. 地方経済・林業・脱炭素への波及
本協定を通じた国産材利用の拡大は、建築分野にとどまらず、森林資源の循環利用・林業活性化・脱炭素社会の実現という社会課題の解決にも直結する取り組みです。
国産材利用が森林循環を支える
建築物への国産材利用は、伐採・利用という森林の健全な循環を促進します。また、木材は炭素を固定する特性を持つことから、建築物への利用拡大はCO2固定による脱炭素社会実現への貢献にもつながります。さらに、輸入材から国産材への転換は、輸送に伴う環境負荷の低減や、国内資源を活用した持続可能な建築材料調達の実現にも寄与します。
地方の製材・林業活性化へ
今回の取り組みでは、福島県の協和木材株式会社・徳島県の株式会社ダイリFPCをはじめとする地域の製材事業者と連携し、これまで十分に活用されてこなかった大径木資源の利用拡大に取り組んでいます。国産杉幅広材の需要拡大が進むことで、製材設備投資・乾燥設備整備・技術開発が促進され、国内木材産業全体の活性化につながります。地域の森林資源を地域で活かすこの取り組みは、地方雇用の維持・創出や持続可能な地域経済の形成にも貢献していきます。
Ⅵ. お披露目式を実施
本協定の締結にあたり、2026年5月22日、農林水産省にて「建築物木材利用促進協定」お披露目式を実施しました。林野庁長官 小坂善太郎氏をはじめ4者の関係者が一堂に会し、国産材利用拡大に向けた決意を新たにしました。式典では各社代表による挨拶・記念撮影のほか、木造賃貸集合住宅分野における国産材利用拡大や国内木材サプライチェーン構築に向けた意見交換も行われました。
開催概要
日時:2026年5月22日(金)
会場:「農林水産省」3階 第1特別会議室
出席者
・林野庁長官 小坂善太郎氏
・東建コーポレーション株式会社 サプライチェーン統轄責任者 建築技術部 部長 高岸祐次氏
・協和木材株式会社 代表取締役 佐川広興氏
・株式会社ダイリFPC 代表取締役 小濱孝彦氏
式次第
・協定内容紹介
・農林水産省挨拶
・各社挨拶
・記念撮影




Ⅶ. 今後の展望
東建コーポレーションは、今回の協定締結をスタート地点と位置づけ、国産材利用のさらなる拡大を推進していきます。
現在掲げる3年間30,000m3の目標は第一段階であり、達成後はさらなる使用量拡大を目指します。あわせて、国内ではまだ供給事例が限られている国産杉「2×8」「2×10」「2×12」などの幅広材についても、需要創出を通じた流通拡大を後押しし、安定供給体制の確立を牽引していきます。
また、林業・製材・物流・建築までをつなぐ国内サプライチェーンの強化を進め、各地域の森林資源や製材事業者との連携を深めながら、持続可能な木材利用モデルの構築に取り組んでいきます。
東建コーポレーションは本協定を通じて、国産材活用を木造賃貸集合住宅市場の新たなスタンダードとして定着させ、業界全体の変革を牽引していきます。
参考リンク

東建コーポレーション株式会社
本社所在地:愛知県名古屋市
事業内容:賃貸住宅の建設・管理・仲介
公式サイト:https://www.token.co.jp/

協和木材株式会社

株式会社ダイリFPC
本社所在地:徳島県徳島市
事業内容:2x4パネル/構造用パネルの製造・販売