~防耐火の学識者をはじめ8名の審査員の方に認められ、中高層木造建築物の普及を可能とする「防耐火技術」が評価~
株式会社AQ Group(本社:埼玉県さいたま市西区、代表取締役社長:宮沢 俊哉)は、5月1日に完成したAQ Group新社屋ビルが、一般社団法人石膏ボード工業会 第46回石膏ボード賞「建築賞」を受賞しました。基準に適合するとコスト高になり普及が難しいとされている中規模木造建築の防耐火基準をクリアしたAQ Group新社屋ビルは、その取り組みと実績を高く評価。防耐火の学識者をはじめ8名の審査員から認められ、今後の中規模木造建築の普及をリードする期待を受けました。今年創設された賞で、第一号となります。
一般社団法人石膏ボード工業会には厚く御礼申し上げるとともに今後の発展を祈念いたします。弊社は、今後も石膏ボードの生産、流通及び利用消費の改善合理化を図ることにより、 資源の有効利用と建材の質的向上に寄与し、産業の健全な発展と国民の住生活に貢献することを目的とする一般社団法人石膏ボード工業会、並びに木造建築・建築業界の発展に貢献してまいります。
受賞概要
受賞内容:建築賞「株式会社AQ Group 本社屋」
プロデュース:株式会社AQ Group 代表取締役社長 宮沢 俊哉
設 計:有限会社野沢正光建築工房 代表取締役 石黒 健太
構 造:株式会社ホルツストラ 主宰 稲山 正弘
建築概要:
・主要用途:事務所、展示場 ・階 数:8F ・基 礎:杭基礎
・構 造:木造(耐震構造) ・最高高さ:30.95m ・延床面積:6076.52 ㎡
評価コメント:
現在、建築界は、脱炭素社会を背景に木材活用の促進が期待される「中高層木造建築を経済的に実現」する社会課題をかかえている。AQ Group 本社屋は、主要構造部を木質化した純木造で、告示仕様のメンブレインによる耐火性能と、一般流通材のプレカット接合により8 階建て耐震構造建物を実現している。2024 年現在、7 階建以上の規模で耐震構造を採用した建物の棟数は特に少なく、構造のクライテリアの課題などにも丁寧な検討と内容で応えている。同時に告示仕様の組み合せで実現する耐火建築物の普及についての視点を有している。設計者である野沢正光建築工房は、1980 年代より工学(環境対応/自然エネルギー活用)と歩調をあわせ、断熱気密、快適な環境実現への視座を有し、その姿勢は先駆的であった。構造設計のホルツストラ・稲山正弘氏は、特注金物に頼らない構造設計により、木質構造の普及につとめてきた。その成果ともなる。この様な背景をもった設計者が取り組んだ耐震木造8 階建の建物である。また、野沢正光氏は2023 年4 月に逝去され、本建物が遺作となる。プロデュースのAQ Group は住宅建設を主とするハウスメーカーで環境対応、高仕様などへの姿勢を有し、本建物はその技術の組み合せともいえる。
脱炭素社会に貢献する普及型の純木造8階建てビル
中規模木造建築物の普及には、「耐震性能」、「耐火性能」、「コスト高」、「施工体制」が課題として挙げられています。しかし現在、多額の費用をかけたシンボリックな木造ビルが多く、“普及” の観点よりも話題性が先行となっていました。そこで弊社は、注文住宅事業アキュラホームで培った戸建て木造住宅の知見を活かし、中規模木造建築の普及を目指しました。今回共同受賞した「野沢正光建築工房」「ホルツストラの稲山正弘氏」と連携し、プロジェクトを遂行。低層住宅のメインプレイヤーである中小ゼネコンや工務店でも建築できる構法を見出し、中規模木造建築の普及を可能とするプロトタイプとなる純木造8階建てAQ group新社屋ビルの建築を実現しました。
現在建築されている中規模木造ビルの多くは、建築基準法の耐火基準に適合するために壁面を石膏ボードを何重にも重ねて覆い耐火性能を高めている。そのため「木の質感」や、外から差し込む「自然光」を取り入れることが難しい建築物が多く存在しています。一方で、AQ Group新社屋は、建築基準法に適合した耐火性能を確保しつつ、構造体の一部を「木のあらわし」とすることを実現しております。これは、弊社が独自で開発した「組子格子耐力壁」や「相欠き合わせ柱式ラーメン」などの技術を駆使することで、耐震性・耐火性の基準を満たすことが可能となりました。
さらに使用する材料は、一般流通材の組み合わせや住宅用プレカット加工技術を駆使し、特殊な技術を使わず、住宅建築を担う大工でも施工可能な「”普及型”中規模木造建築のプロトタイプ」として建築することが出来ました。AQ Group新社屋ビルは脱炭素社会に適した中規模木造建築において世界のスタンダードになる可能性があると考えております。