ジョブ・クラフティングを促進する組織についての研究成果
※以下、内容の要点について論文より一部抜粋
《 調査背景 》
従業員の自律性が求められる現代において再注目されている概念として、従業員が主体的に自らの仕事をデザインすることに関連し、働きがいを高める効果をもつ「ジョブ・クラフティング」に注目した研究対象に、iYellが選ばれました。iYellはGreat Place to Work® Institute Japanが実施する「働きがいのある会社」ランキングのベストカンパニーに6年連続で選出され、従業員の働きがいと働きやすさの両立を目指しており、今回調査では心理統計学の手法を用いて分析し考察することとなりました。
ジョブ・クラフティングは,従業員が仕事の意味やアイデンティティを変化させ,働きがいや組織の成果を高めることと関連し,自律性が求められる現代において注目すべき概念である。本研究では,働きがいのある会社づくりを行い社会的にも高い評価を受け,支持的な組織環境と考えられる企業(※iYell)の協力を得て,ジョブ・クラフティングを促進する組織の特徴を社会的要因とその構造の観点から記述することを目的とする(本文p.39より抜粋)。 |
《 調査概要 》
2020年10-11月にiYellの従業員を対象に,新型コロナウィルス感染拡大による働き方の変化とジョブ・クラフティングを促進する組織の特徴に関する調査を実施した。その結果から,ジョブ・クラフティング得点の高かった部署を対象に,メンバーのジョブ・クラフティングが促す社会的要因と構造について2021年2月にインタビュー調査を実施しました。
《結果と考察》
従業員のジョブ・クラフティングにおけるバリューの機能は次の 3 点と考えられる。 (a)方向づけ:内在化され,行動規範となることで,ジョブ・クラフティングを方向づける。 (b)動機づけ:内在化されたスキーマの構築やその体現の過程で,ジョブ・クラフティングを動機づける。 (c)統制:バリューそのものや,それを反映した同僚の振る舞いから自身の認識や行動を省みて,調整させる。
(本文p.49より抜粋)
ジョブ・クラフティングを促進する組織の特徴として,従業員が【成長を志向する個人と会社がベクトルを合わせることを心がけて相互に影響し合いながら仕事を遂行している】と認識していたことがあげられた。これはバリュー経営*の成果と考えられる。当該企業(※iYell)では採用の基準として「会社のバリューに共感する人物であること」を重視し,社内制度にもバリューが反映され,従業員の価値観や行動規範として機能している。また,経営層がバリューを重視し,それに基づく経営判断や行動をとることで組織全体に広がり,バリューを体現する意識が高まっている。その結果として従業員間で積極的なネットワーキングが図られ,組織全体でジョブ・クラフティングが促進されている様子が窺えた。(本文p.49-50より抜粋,一部修正)。
ジョブ・クラフティングを促進する組織を目指す際の参考となる知見として,バリューが従業員に浸透することで,組織の目指す方向性と合致したジョブ・クラフティングが促進されやすくなる可能性が示された。また共通の価値観が醸成された組織では,ジョブ・クラフティングが同僚にも好意的に捉えられ,評価を受けやすいと考えられる。そのため,同僚の(ポジティブな)反応によりジョブ・クラフティングの実践が長期的に促され,それを向社会的に捉えた同僚のジョブ・クラフティングも促進されるという望ましい循環が生まれる可能性が示された。(本文p.50より抜粋,一部修正)。
*バリュー経営
iYellでは,「何をするかより誰とするか」を経営理念とし,意思決定をしていくうえでの方向性として,
(a)バリュー経営:共通の価値観である「バリュー」を大切にし,仲間を応援し合い,成長する企業を目指す
(b)社員ファースト経営:経営陣は,まず社員の幸せを目指し,社員は,まず仲間の幸せを目指す
(c)1000年経営:1000年続く企業を目指すため,iYellに関わる人の全方位的な幸せの永続を目指す
ことを3つの柱としている。
共通の価値観であるバリュー(https://iyell.co.jp/company/value)には,仕事へのスタンスや行動にフォーカスした「Job ver.」と想いや心などにフォーカスした「Mind ver.」があり,各項目にバリューをわかりやすくするための行動の一例である「行動規範」が示されている。
その他,働きがいと働きやすさの両立を目指し,従業員の好きなことややってみたいことを支援する制度や福利厚生を設け,設立以来低い離職率を維持している。
詳細はこちら:
大嶋玲未・廣川佳子 (2023). ジョブ・クラフティングを促進する組織の社会的要因とその構造 :ベンチャー企業の一事例による質的検討, 目白大学心理学研究 (19), 39-53.
https://mejiro.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1963&item_no=1&page_id=13&block_id=21
《 今後の展望 》
iYellは,今後も『バリュー経営』,『社員ファースト経営』,『1000年経営』という経営理念を柱とし,共通の価値観であるバリューを大切しながら,社員の幸せを考え,長期的に続く会社を作り,ビジョンである応援し合う地球の実現を目指してまいります。
《 会社概要 》
会社名:iYell株式会社(The iYell Co., Ltd.)
代表者:代表取締役社長兼CEO 窪田 光洋
本社所在地:東京都渋谷区道玄坂1丁目16番3号 渋谷センタープレイス5階
設立日:2016年5月12日
払込資本金:65.7億円
コーポレートサイト:https://iyell.co.jp/
採用サイト:https://recruit.iyell.co.jp/
新卒採用サイト:https://recruit.iyell.co.jp/graduate/
公式ブログ:https://iyell.co.jp/iyellook