金曜日, 5月 8, 2026
ホーム調査レポート【マンション市場】「第二の大井町」はどこか? 都心周辺ポテンシャルエリアを探る

【マンション市場】「第二の大井町」はどこか? 都心周辺ポテンシャルエリアを探る

再開発・交通利便性・流動性から読み解く「次に価格が伸びる街」

【調査概要】

  • 調査期間:2015年1月~2026年3月

  • 調査機関マンションリサーチ調査対象

  • 東京都23区内中古マンション

  • サンプル事例数626,836

  • 事例調査方法:公開されている中古マンション売出情報を収集して統計処理を行い集計する

大井町が再び注目を集める理由

大井町駅周辺では、近年大規模再開発が相次ぎ、その象徴ともいえる大井町トラックスのグランドオープンによって街全体が大きな盛り上がりを見せています。もともと交通利便性に優れたエリアとして評価されていた大井町ですが、再開発による商業機能・居住機能の強化が進んだことで、街としての魅力が一段階引き上げられました。中古マンション市場においても、大井町は近年大きく価格が上昇した代表的なエリアとして知られています。

一方で、不動産マーケットにおいて重要なのは「次にどこが大井町のような値動きを見せるのか」という視点です。すでに価格が大きく上昇したエリアを追いかけるだけではなく、同様の構造的条件を持つエリアを分析することで、今後高いポテンシャルを持つ地域を見極めることができます。そこで今回は、大井町の価格上昇要因を掘り下げながら、「第二の大井町」となり得るエリアについて考察していきます。

大井町の中古マンション価格は都心並みに上昇

出典:福嶋総研

まず、大井町駅周辺の中古マンション価格動向を見てみます。2001年以降築の中古マンション坪単価推移を見ると、都心五区と比較した場合、絶対的な坪単価水準では依然として大井町の方が低い水準にあります。しかし注目すべきは、その価格上昇のカーブです。特に2024年から2025年にかけては、都心五区に近いレベルの急激な価格上昇を見せており、都心準拠型の価格形成が進んでいることが分かります。

これは単なる局地的な人気化ではなく、「都心価格高騰の波及」が発生していることを示しています。近年の東京都心部では、新築・中古ともに価格上昇が著しく、特に一次取得層や実需層にとっては都心五区での購入ハードルが大きく上昇しました。その結果、都心へのアクセス性が高く、かつ相対的に価格が抑えられていた準都心エリアへ需要が流入したと考えられます。大井町はまさにその代表例と言えるでしょう。

大規模マンション供給が街の価値を押し上げた

出典:福嶋総研

加えて、大井町では2018年から2019年にかけて大規模マンション供給が集中しました。年度ごとの新築竣工数および平均新築戸数を見ると、この時期には平均戸数の多い大型マンションが複数供給されており、街全体として住宅供給の厚みが増したことが分かります。

一般的に、大規模マンション開発は単に住宅供給を増やすだけではありません。一定以上の戸数を持つタワーマンションや大規模レジデンスが供給されることで、街のイメージそのものが変化します。店舗構成や生活導線も変わり、居住人口増加によって商業集積も進みます。さらに、一定所得以上の住民流入によってエリアブランドが形成され、中古市場においても価格押し上げ効果が発生しやすくなります。

大井町の場合も、大規模開発による街力向上と、都心価格高騰による代替需要、さらにJR京浜東北線・りんかい線・東急大井町線を利用できる交通利便性が相乗効果を生み、価格上昇につながったと考えられます。特に品川・大崎・東京方面へのアクセス性は、オフィス回帰の流れとも親和性が高く、共働き世帯を中心に強い需要を集めました。

足元では流動性低下の兆候も

以下の地図ではシンボリックなマンション(平均価格8000万円以上)の在庫推移を表しています。

赤プロット:在庫減少傾向(流動性高い)

黄プロット:在庫一定(流動性普通)

青プロット:在庫増加傾向(流動性低い)

出典:福嶋総研データ(googleマップ利用)

しかし足元の市場を見ると、やや変化の兆候も見え始めています。シンボリックなマンション、すなわち平均価格8,000万円以上の代表的物件における在庫推移を見ると、直近では青プロット、つまり在庫増加傾向の物件がやや目立つようになってきました。

これは重要なシグナルです。在庫が増加するということは、売却物件数に対して成約が追いつかなくなっていることを意味します。つまり流動性が低下している状態であり、価格上昇局面が一服し始めている可能性があります。もちろん即座に価格下落へ転じるわけではありませんが、これまでのような急激な価格上昇フェーズから、相場が徐々に沈静化していく局面に入りつつあることを示唆していると言えるでしょう。

「第二の大井町」に必要な3つの条件

では、今後「第二の大井町」となり得るエリアはどこなのでしょうか。

その条件として重要なのは、

1:直近で大規模開発が活発に行われていること
2:都心アクセスに優れていること
3:シンボリックマンションの流動性が高いこと

の3点です。

これらを踏まえると、有力候補として浮上するのが、江東区内陸部、特に隅田川と荒川に挟まれた東側エリアです。

江東区内陸部東側が有力候補である理由

このエリアは従来から都心アクセスに優れていましたが、今後は東京メトロ有楽町線延伸計画によって交通利便性がさらに向上すると期待されています。鉄道インフラ整備は不動産価格に対して極めて大きな影響を与える要素であり、特に「都心直結性」が強化されるエリアは、中長期的に住宅需要が高まりやすい傾向があります。

出典:福嶋総研データ(googleマップ利用)

さらに、2020年以降築の100戸以上の大規模マンション分布を見ると、江東区内陸部東側では大型マンション供給が非常に集中していることが分かります。これは超都心部を除けば、東京都内でも有数の供給密集エリアと言えるレベルです。

大規模マンションが集積することで、街並みや商業環境が更新され、人口流入によるエリア価値向上が進みます。また近年のマンション開発では、単なる住宅供給ではなく、商業施設や広場、防災機能などを含めた「街づくり型」の開発が増えており、エリアそのものの評価が中長期的に押し上げられやすくなっています。

高い流動性を維持するシンボリックマンション

出典:福嶋総研データ(googleマップ利用)

加えて、シンボリックマンションの在庫推移を見ても、江東区内陸部東側では相対的に流動性の低い物件が少ない状況です。例えば、プラウドタワー亀戸クロスブライトタワーやプラウドタワー亀戸クロス ゲートタワーでは、在庫減少傾向が確認されており、高い流動性を維持しています。これは購入需要が依然として強いことを示しており、エリアとしての評価が現在進行形で高まっていることを意味します。

つまり、江東区内陸部東側は、「都心価格高騰による代替需要」「大規模開発」「交通インフラ強化」「高い流動性」という、大井町が価格上昇した際と非常に似た条件を備えているのです。

江東区内陸部東側は次の成長エリアとなるか

もちろん、不動産市場は金融政策や景気動向の影響も強く受けるため、単純に同じ値動きをするとは限りません。しかし少なくとも、現在の東京都内において構造的な成長条件を備えたエリアを挙げるならば、江東区内陸部東側は極めて有力な候補の一つと言えるでしょう。

大井町がそうであったように、「都心へのアクセス」「大規模供給」「街の更新」「流動性」という条件が重なったエリアは、中長期的に相場を押し上げやすい傾向があります。今後の東京不動産市場を考える上でも、江東区内陸部東側の動向には大きな注目が集まりそうです。

筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室 

不動産データ分析責任者

福嶋総研

代表研究員

 福嶋総研代表研究員。早稲田大学理工学部卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。

福嶋総研 公式ページ

https://mansionresearch.co.jp/fri/

メルマガ配信申込フォーム

https://forms.gle/bQizYbozk35QoMJ67

【マンションリサーチ株式会社その他サービスURL】

■全国14万棟 分譲マンション価格相場公開サイト『マンションナビ』

https://t23m-navi.jp/

■不動産データクラウド

https://fudosan-data.jp/

■ロボ査定

https://robosatei.jp/

■分譲マンション、土地、戸建てデータ販売

https://mansionresearch.co.jp/re-data/

【不動産市場解説動画チャンネル】

https://www.youtube.com/@mansionresearch/videos

【マンションリサーチ株式会社について】

マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。

会社名: マンションリサーチ株式会社

代表取締役社長: 山田力

所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階

設立年月日: 2011年4月

資本金 : 1億円

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

Most Popular

Recent Comments