日曜日, 11月 24, 2024
ホーム商品サービス中規模オフィスビルの新築から解体までの工事に伴うCO2排出量を35%削減

中規模オフィスビルの新築から解体までの工事に伴うCO2排出量を35%削減

 鹿島(社長:天野裕正)は、建材の製造、運搬、施工、更新・修繕、その後の解体に伴い発生するCO2排出量(以下、エンボディドカーボン)の削減に積極的に取り組んでいます。

 当社が開発を進める中規模オフィスビル「名古屋伏見Kフロンティア」(以下、本物件)は、旧建物の地下躯体の山留利用や低炭素建材の適用拡大など、当社が蓄積してきたCO2排出量削減のノウハウを活用した、環境配慮型オフィスビルです。本物件の実施設計段階におけるエンボディドカーボンを基本設計段階のものと比較した結果、35%の削減を実現しました。なお、算定には当社が開発したCO2排出量を正確に算定するシステム「Carbon Foot Scope®」(カーボンフットスコープ)を活用しています。

 鹿島は今後、様々な用途や規模の建物においてCO2排出量の削減に向けた合理的、かつ具体的なプランをお客様に提案し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

「基本設計」と「実施設計」のエンボディドカーボン算定結果の比較

【CO2排出量削減の具体的な取組み】

 当社は、本物件を建築部材や設備機器の製造、運搬、施工、更新・修繕の各段階における合理的なCO2排出量削減プランを検討する実証モデルと位置付け、当社のCO2排出量削減ノウハウを活用するとともに、低炭素材料の適用や最適な設備機器の選定を行いました。

 本物件では、基本設計から実施設計に至る段階で、CO2排出量をさらに削減すべく検討を進めました。その結果、実施設計時に算定したエンボディドカーボンが基本設計段階と比較して35%削減(1.35t- CO2e/㎡削減※1)されることを確認しました。この削減量は、当社が「鹿島環境ビジョン2050plus」で2030年のサプライチェーン排出削減の目標としている25%を上回る結果です。算定にあたっては、当社が開発した、正確にCO2排出量が算定できるシステム「Carbon Foot Scope」を活用しました。

 なお、本物件は、高いエネルギー効率の建物として「ZEB Ready※2」だけでなく、建築環境総合性能評価システムCASBEEにおける環境配慮・省エネルギー建築物の最高ランク「CASBEE-建築 Sランク」、さらに、健康性・快適性の指標である「ウェルネスオフィス」の最高ランク「CASBEE-ウェルネスオフィス Sランク」、これらの第三者認証・評価を取得しております。

※1 評価期間を建替周期60年として算出

※2 従来の建物で必要なエネルギー消費量を省エネで50%以下に削減したエネルギー効率の高い建築物

 

実施設計時における削減プラン

・旧建物の地下躯体を山留として有効利用し、基礎杭および掘削・山留数量を削減

・高効率な照明設備および空調設備を採用した省エネ設計

旧建物の地下躯体を利用した現場施工状況

調達時における削減プラン

・CO2排出量が少ない高炉セメントコンクリート※3の一部採用

・当社独自の環境配慮型コンクリート(エコクリート®R3※4、エコクリート®ECM※5)の一部採用

・高炉鋼材※6から電炉鋼材※7への一部置き換え

※3 普通セメントに高炉スラグという副産物を混ぜたセメント。一般に流通している高炉セメントB種、高炉スラグ混合量40~45%のセメントコンクリート

※4 製造過程で大量のCO2が発生するセメントの代わりに、戻りコンから骨材を取り除いた後、脱水・粉砕して製造するスラッジ 再生セメント「Cem R3®」を原材料とするコンクリート

※5 高炉スラグ混合量約60~70%のセメント。一般に流通している高炉セメントよりも発熱量が少なく、熱ひび割れが起こりにくい、抵抗性に優れた特徴を持つコンクリート

※6 溶鉱炉で鉄鉱石を溶かし、転炉で不純物除去などの成分調整を 行った鋼材

※7 鉄スクラップを電気炉で溶解し、不純物を除去して再利用した鋼材

エコクリートECMプレキャスト床版部材

施工時における削減プラン

・フォークリフトに軽油代替燃料Renewable Diesel※8を一部採用

・鉄骨溶接作業時の可搬式発電機燃料に軽油代替燃料B5軽油※9を一部採用

・一般の商用電力から再生可能エネルギー由来の電力に切替え

※8 廃食油や廃動植物油等を原料とする次世代型バイオ燃料

※9 軽油に5%以下のバイオディーゼル燃料を混合した軽油と同等の燃料

Renewable Diesel利用のフォークリフト

更新・修繕における削減プラン

・OAフロアは更新・修繕の頻度が高い建材であるため、CO2排出量が少ない樹脂製を採用

・個々の建材及び設備機器の長期修繕計画に基づき、最適な更新・修繕プランを策定

【今後の展開】

 鹿島は今後、本物件で得られた知見を、様々な用途や規模の建物においても活用し、合理的で具体的なCO2排出量削減プランをスピーディーにお客様に提案し、脱炭素社会の実現に積極的に貢献してまいります。

【物件概要】

事業主 : 鹿島 開発事業本部

所在地 : 愛知県名古屋市中区錦二丁目

用途  : 事務所

敷地面積:  2,442㎡ (約739坪)

延床面積: 25,811㎡ (約7,808坪)

階数  : 地上13階・地下1階

構造  : S造、一部SRC造

駐車台数: 131台(地下機械式)

竣工  : 2025年10月(予定)

完成予想パース(南西から見た全体図)

(参考)

・本物件のCO2排出量算定条件

 日本建築学会「建物のLCA指針(2013年度改訂版)」を用いて、建物が60年ごとに建て替えられると仮定し、新築時に排出するCO2とフロンガスを評価しています。評価の範囲は、資材の製造(A1-A3)、建設作業(A4-A5)、建物の使用(B1-B5)、そして解体(C1-C4)までを含んだものとしています。

・鹿島環境ビジョン2050plus

 https://www.kajima.co.jp/sustainability/policy/vision/index-j.html

・名古屋伏見Kフロンティア

https://www.kajima.co.jp/tech/development/real_estate/office_commerce/kuwana/index.html#pagetop

・名古屋伏見駅至近のハイグレードオフィスビル「(仮称)錦通桑名町ビル計画」着工

(2023年12月1日プレスリリース)

 https://www.kajima.co.jp/news/press/202312/1a1-j.htm

・建物の脱炭素化をライフサイクル全体で支援するシステム「K-ZeX(TM)」を構築

 (2024年6月19日プレスリリース)

https://www.kajima.co.jp/news/press/202406/19a1-j.htm

・AIを活用し建物のライフサイクル全体のCO2排出量を正確に算定

(2024年8月29日プレスリリース)

 https://www.kajima.co.jp/news/press/202408/29e1-j.htm

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