金曜日, 5月 3, 2024
ホーム商品サービス健康増進型・サービス付き高齢者向け住宅における暮らしと健康維持・増進の関係性の評価 第2弾

健康増進型・サービス付き高齢者向け住宅における暮らしと健康維持・増進の関係性の評価 第2弾

サービス付き高齢者向け住宅初、入居することで自然と社会参加が促され、要介護リスクの低減につながる可能性があることを数値で評価

本プレスリリースのポイント

当社は、2021年より千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門との共同研究を実施し、

1. 野村不動産ウェルネスが運営するサービス付き高齢者向け住宅※2の入居者(以下「入居者」)は、

地域一般高齢者と比較し、スポーツ・趣味・学習教養のグループ活動に週1回以上参加する割合が高く、身体活動や社会活動に積極的に取り組んでいること、

2. 国内のサービス付き高齢者向け住宅で初めて、入居することで、自然と要介護リスクの低減につながる可能性があること、を数値で評価することに成功

 野村不動産株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:松尾大作、以下当社)、野村不動産ウェルネス株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:笠原一俊、以下、野村不動産ウェルネス)は、千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門(近藤克則教授、以下「千葉大学」)と2021年8月より共同研究を開始しました。

 入居者に対する介護予防効果を評価するため、千葉大学は、2021年11~12月時点(以下「調査①」)と約1年後の2022年11~12月時点(以下「調査②」)の2回、入居者に対してアンケート調査を実施し、入居者と地域一般高齢者※3の背景要因のバランスを加味した上で、要介護リスクの変化を比較した結果、以下のことが明らかになりました。なお、国内のサービス付き高齢者向け住宅の類型において、入居することで要介護リスクの低減につながる可能性があることを数値で評価したのは初の取組みです。

評価結果1 グループ活動への参加割合の差異

 入居者は、週1回以上グループ活動(スポーツ、趣味、学習教養)に参加している人の割合が地域高齢者よりも12~40ポイント高い

評価結果2 1年間の要介護リスクの変化

 入居者は、調査①②を実施した約1年間で、 地域一般高齢者よりも、要介護リスク(要支援・要介護リスク評価尺度※4、基本チェックリスト※5)が低減する結果に。

【想定される効果】

  上記の結果より、要支援・要介護リスク評価尺度をもとに算出し、以下2点の具体的な効果が想定されます。

 ■100人あたりの6年間の累積介護費用が最大570万円軽減※6

 ■3年以内に要支援・要介護認定を新規に受ける確率が約2ポイント低下※4

健康増進型・サービス付き高齢者向け住宅における暮らしと健康維持・増進の関係性の評価 第2弾のサブ画像1_(1年間の要介護リスクの変化)(1年間の要介護リスクの変化)

1.共同研究の内容と分析結果

  高齢者の身体活動や社会活動は、介護予防に効果的であることが知られています。当社と千葉大学は、野村不動産ウェルネスが運営する、入居者の身体活動や社会活動を促すサービスを提供するサ高住に暮らすことと、入居者の要介護リスクとの関係を評価しました。

 2021年度は、入居者の身体活動や社会活動の評価を行い、入居者は地域一般高齢者に比べて、身体活動や社会活動に取り組んでいる人の割合が高いことが分かりました(調査①)。しかし調査①のみでは、「サ高住に入居したから活動的になった」のではなく、「元々活動的な人が、サ高住で暮らしている」という可能性が否定できないため、1年後の2022年度に調査②を行い、それぞれの時点での要介護リスク指標の変化を評価しました。

調査の詳細は以下の通りです。

(1)入居者の身体活動や社会活動の評価(調査1)

 入居者の身体活動や社会活動の状況を評価するため、入居者と類似の背景要因をもつ地域一般高齢者との間で比較しました。この比較対照の地域一般高齢者は、傾向スコアマッチング法※7 により、JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study, 日本老年学的評価研究)※3 の2019年調査データから、背景要因として以下16項目(年齢、性、教育歴、婚姻状況、主観的経済状況、就労、基礎疾患の数、うつ、​Body mass index [BMI]、主観的健康感、日常生活自立度、手段的日常生活動作、手段的サポートの受領、情緒的サポートの受領、地域への愛着、要支援認定の有無)を選択し、これらの複数の要因が入居者と同等の対照者を抽出して比較しました。

 入居者と比較対照者との間で、週1回以上のグループ活動(スポーツ、趣味、学習教養、ボランティア、老人クラブ、町内会、通いの場、特技や経験を他者に伝える活動)に参加している人の割合を比較した結果、入居者は地域一般高齢者に対し、グループ活動に週1回以上参加する人の割合が、スポーツでは約40ポイント、趣味では約12ポイント、学習・教養では約24ポイント高いことが明らかになりました。

これらの結果から、入居者は地域一般高齢者に比べて、身体活動や社会活動に取り組んでいる人の割合が高いことが分かりました(図1)。

健康増進型・サービス付き高齢者向け住宅における暮らしと健康維持・増進の関係性の評価 第2弾のサブ画像2_図1 入居者と地域一般高齢者のグループ活動参加割合の比較※8図1 入居者と地域一般高齢者のグループ活動参加割合の比較※8

(2)入居による介護予防効果の評価※9(調査2)

 入居による介護予防効果を評価するため、1年間の要介護リスクの変化を評価しました。調査①と同様、比較対照者を傾向スコアマッチング法により、JAGESの2021-22年調査データから、背景要因として以下12項目(年齢、性、教育歴、婚姻状況、資産、就労、基礎疾患の有無(高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症、心疾患)、うつ、​Body mass index (BMI)、主観的健康感、手段的日常生活動作、要支援認定の有無)を選択し、これらの複数の要因が入居者と同等の対照者を抽出して比べました。

 要介護リスクは、要支援・要介護リスク評価尺度、基本チェックリストで評価しました。1年間の要介護リスクの変化を比較したところ、入居者は、地域一般高齢者に比較して、要支援・要介護リスク評価尺度は約0.8点、基本チェックリストは約0.3点低下と、要介護リスクが低減したことを示す結果でした(図2)。

健康増進型・サービス付き高齢者向け住宅における暮らしと健康維持・増進の関係性の評価 第2弾のサブ画像3_図 2 入居者と地域一般高齢者の1年間の要介護リスク変化の比較図 2 入居者と地域一般高齢者の1年間の要介護リスク変化の比較

(3)調査まとめ1:サ高住への入居と要介護リスクとの関係

 調査2の結果より、入居者では、似た背景要因をもつ地域一般高齢者と比較して、要介護リスクが低減したことが明らかになりました。3年以内に要支援・要介護認定を新規に受ける確率に換算すると、約2ポイントの低下(約24%→約22%)に相当すると推定されます※4。

 過去の複数の研究により、高齢者の社会参加が介護予防に有効であることが示されており、グループ活動の参加が要介護リスク低減の主な要因と考えられます。調査1の結果で示したように、入居者はグループ活動に積極的に参加しており、これがリスク低減の要因として考えられます。

 地域における高齢者の自立生活を支援する住宅モデル(Community-based housing model)に関する研究※10では、入居者の社会参加を促進する4つの要因(要因1 交流の場となる共用スペースの設計、要因2 活動への近接性、要因3 関係が良好なコミュニティ、要因4 柔軟な規則・ポリシー)が報告されています。

 野村不動産ウェルネスが運営するサ高住では、入居者が集えるラウンジやカフェ、食堂(要因1)が設けられており、さまざまな活動プログラムを施設内で提供しています(要因2)。また、調査2の結果からは、入居者の間に良好な関係性が形成されていること(要因3)が示唆されています(入居者のうち、約6割がよく会う友人、約4割が愚痴を言い合える存在、約5割が共に食事をする相手として、他の入居者を認識)

このような要素が組み合わさることにより、入居者の社会参加が促進され、結果として要介護リスクが低減されると考えられます。

(4)調査まとめ2:サ高住入居と介護費用の関係

 調査2で要介護リスクの評価に用いた要支援・要介護リスク評価尺度は、6年間の累積介護費用に換算することが可能です※6。合計点が16点以下では、1点あたり約0.65万円、合計点が17点以上では1点あたり約7.12万円に換算することができます。例えば、要支援・要介護リスク評価尺度が13点の場合、今後6年間の累積介護費用は13×0.65=約8.5万円と推定されます。

 調査2の結果より、入居者の要支援・要介護リスク評価尺度は、2021年時点(調査1)で23.8点であり、2022年(調査2)には、地域一般高齢者と比較して、要支援・要介護リスク評価尺度が約0.8点低下したことから、100人当たり0.8×7.12×100=約570万円の6年間の累積介護費用抑制に相当すると考えられます。 

2.今後の展開

 当社が運営するサ高住での健康寿命の延伸に向けた取組みが、ご入居者・ご家族の皆様の幸せへの貢献だけでなく、社会保障費の抑制にも寄与していることを可視化することができました。

 我が国の高齢者向け住宅は、大半が要介護者向け住宅であり、自立高齢者を介護にさせない住まい・サービスへの取り組みがまだまだ不足していると考えております。また今後増大していく社会保障費の抑制や介護離職者の低減といった社会課題への対応も急務です。当社として、今後もサ高住のご入居者及びご家族の皆様の「世界一の人生づくり」を目指すとともに、社会課題の解決に向け、取り組んでいきます。

■千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門 近藤克則教授のコメント

 グループ活動への参加や就労をしている高齢者は健康を保っていると多くの追跡研究で明らかにしてきました。背景要因が似ている地域居住高齢者に比べ、運動プログラムなどを提供している高齢者向け住宅の入居高齢者が健康を保っていることを評価できたのは初めてのことです。

 高齢者の社会参加は、本人の健康長寿だけでなく、社会保障費の抑制も期待できます。「暮らすだけで自然と健康になれる環境」の実例として、多くの人に知ってほしいと思います。

※1 当社・千葉大学調べ

※2 今回調査対象のオウカス船橋、オウカス幕張ベイパーク、オウカス吉祥寺、オウカス日吉は、全てサービス付き高齢者向け住宅(バリアフリー構造で、入居者の安否確認や生活相談サービスの提供などを行うことが定められている賃貸住宅)。

※3 要介護認定を受けていない65歳以上を対象とした大規模疫学調査「JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study, 日本老年学的評価研究)」のデータを用いた。

   

※4 基本チェックリストに含まれる10項目と性、年齢の合計12項目から構成される評価尺度で、3年以内に新しく要支援・要介護認定を受けるリスクを0~48点で評価する。点数低下は要介護リスクの抑制を意味する。

Tsuji T et al. Development of a risk assessment scale predicting incident functional disability among older people: Japan Gerontological Evaluation Study. Geriatrics & Gerontology International 18(10): 1433-1438, 2018.

※5 基本チェックリストは、近い将来介護が必要なハイリスク高齢者を同定するために厚生労働省によって作成されたチェックリストで、日常生活関連動作、運動器、低栄養状態、口腔機能、閉じこもり、認知機能、抑うつ気分の7領域 25項目から構成される。フレイルの評価指標としてよく用いられる指標の1つである。今回はうつ領域を除いた20項目、0~20点で評価した。点数低下は要介護リスクの抑制を意味する。

Kamegaya T et al. Evaluation by the Basic Checklist and the risk of 3 years incident long-term care insurance certification. Journal of General and Family Medicine, 18(5): 230–236, 2017.

※6 斉藤雅茂ら. 要支援・要介護リスク評価尺度点数別の累積介護サービス給付費: 介護保険給付実績の6年間の追跡調査より. 日本公衆
衛生雑誌, 68(11): 743-752, 2021.

※7 傾向スコアマッチングは、各高齢者がサ高住に入居する確率(「傾向スコア」)を統計的な手法を用いて計算し、サ高住入居者と地域一般高齢者の間で傾向スコアが近い者同士をペアにして比較する方法。この傾向スコアは、各個人のさまざまな背景要因を考慮した結果であり、傾向スコアが近い者同士は、背景要因のバランスが類似していると考えることができる。この手法の利点は、サ高住に入居したかどうかという要素以外で、背景要因が類似した者同士を比較できる点にある。これにより、サ高住への入居がもたらす効果をより正確に推定することができる。

※8 2021年度「シニア向け住宅サービスの健康寿命の延伸及び社会保障費の抑制への取組に関する効果検証」共同研究報告書より(河口謙二郎ら.サービス付き高齢者向け住宅入居者の社会参加:傾向スコア法でのJAGESデータとの比較,第81回日本公衆衛生学会,YCC県民文化ホール,山梨, 2022年10月7日発表済)。

※9 2023年度「シニア向け住宅サービスの健康寿命の延伸及び社会保障費の抑制への取組に関する効果検証」共同研究報告書より(河口謙二郎ら.サービス付き高齢者向け住宅入居が要介護リスクに及ぼす影響:1年間の縦断分析,第64回日本社会医学会総会,早稲田大学国際会議場,東京, 2023年7月29日発表済)。

※10 Nguyen T & Levasseur M. How Does Community-Based Housing Foster Social Participation in Older Adults: Importance of Well-Designed Common Space, Proximity to Resources, Flexible Rules and Policies, and Benevolent Communities. Journal of Gerontological Social Work, 66 (1): 103-133, 2023.

本プレスリリースは、当社及び野村不動産ウェルネス株式会社が、千葉大学との共同研究報告書を元に発信するものであり、内容について当社が責任を負うものです。

【ご参考情報】

 ■健康増進型・賃貸シニアレジデンス「OUKAS(オウカス)」について

  オウカスは、健康寿命の延伸を支援することで、ご入居者及びご家族の皆様の「世界一の人生づくり」を目指す、健康増進型・賃貸シニアレジンデンスです。①商業施設・公園・病院などが徒歩圏にある利便性の高い立地、②住まうことが誇らしくなる建物及び日々の時間が豊かになる多彩な共用施設、③カラダとココロの健康維持・増進を図るサービスの提供により、「住むことで心身ともに自然と健康になれる仕組み」を整えています。

 中でも、③の、ご入居者の健康寿命の延伸に向けた様々なサービスの総称である「オウカス・ウェルネスプログラム」は、ⅰ)多彩な運動プログラム、ⅱ)栄養士の管理によるバランスのとれた美味しい食事、ⅲ)イベントや様々なサークル活動が活発なコミュニティ活動、ⅳ)医療・介護の専門知識をもつスタッフによる医療介護連携、の4つの側面から取り組んでおり、2019年度にはグッドデザイン賞も受賞しています。今後も、ご入居者及びご家族の皆様が健康で楽しく、安心・安全に過ごせる毎日を支えてまいります。

<ブランドサイト>

https://www.nomura-re-wn.co.jp/brand/

 ~ ブランドサイトにて、下記オウカス紹介動画を公開中 ~

第1弾 「オウカス誕生に込めた想い・コンセプト」(約5分)

「オウカス」誕生の背景、提供するサービスや特長について、開発・建築・運営に携わるスタッフ自らが想いを語ります。

第2弾 「ご入居者・ご家族の声」(約6分) 

「オウカス」に入居を決めたきっかけや住んでみて感じたことなど、実際に3組のご入居者とそのご家族に、本音で語っていただきました。

<施設一覧>

物件名

所在地

総戸数

HP

オウカス船橋

千葉県船橋市

125戸

https://nomura-re-wn.co.jp/funabashi/

オウカス幕張ベイパーク

千葉県千葉市

141戸

https://nomura-re-wn.co.jp/kaihinmakuhari/

オウカス吉祥寺

東京都三鷹市

116戸

https://nomura-re-wn.co.jp/kichijoji/

オウカス日吉

神奈川県横浜市

120戸

https://nomura-re-wn.co.jp/hiyoshi/

オウカス志木

埼玉県朝霞市

145戸

https://nomura-re-wn.co.jp/shiki/

オウカス世田谷仙川

東京都世田谷区

186戸

https://nomura-re-wn.co.jp/sengawa/

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