月曜日, 11月 18, 2024
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防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始

建物損傷度に合わせた顧客対応で災害対応の効率化を目指す

旭化成株式会社(代表取締役社長:工藤 幸四郎)及び旭化成ホームズ株式会社(代表取締役社長:川畑 文俊)(以下「旭化成グループ」という。)ならびに国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:林 春男、以下「防災科研」という。)は、2020年より共同で開発を進めてきた「防災情報システムLONGLIFE AEDGiS※1(ロングライフイージス)」について、ヘーベルハウス及びヘーベルメゾンを展開する全エリア(21都府県)をカバーする地震被害推定システムが完成し、2月より旭化成グループ内で運用を開始しましたのでお知らせします。

  • 実運用を開始した「地震被害推定システム」の特徴

外部※2からの地震動情報と建物の構造データを掛け合わせて、地震発生後10分~2時間程度でヘーベルハウス及びヘーベルメゾンの建物別に被害レベルや液状化発生状況を即時把握することで、早期に災害対応にあたるシステムです(図1)。
また、被害状況や建物損傷度を正確に把握するため、独自に5つの損傷ランクに分別しました。地震時の建物の瞬間的な最大の傾き(層間変形角)から被害状況を早急に把握し、精度を高め緻密にランク分けすることで、対応の優先順位付けが可能になります。構造体損傷、外壁のひび割れ、内装材(クロスなど)の損傷被害に対応する5つの損傷ランクをシステムによって推定します(図2)。これによって損傷ランクの大きい建物から対応することで、復旧工事の早期終結、受架電の本数削減※3など、災害対応の効率化、ひいては顧客への安心の提供を実現します。

防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始のサブ画像1_図1:LONGLIFE AEDGiS「地震被害推定システム」の作動フロー図図1:LONGLIFE AEDGiS「地震被害推定システム」の作動フロー図

 

① 地震動情報(ある地点での震度※4)をインターネット経由で情報を取得し、50mまたは250mメッシュごとの震度を把握する(50mメッシュ適用エリアは南関東の一部)
② 建物ごとの物件情報(位置情報、構造特性)を参照する
③ 当該物件位置の地震動と②の当該建物構造特性情報から被害の推定(振動による被害)と液状化発生確率の計算を行う
④ 被害推定結果から0~4の損傷ランクを計算し対応の優先順位付けを行う
⑤ 損傷ランク上位の判定を受けた建物から優先的に対応する

※1:AEDGiS・・・Asahikasei Earthquake and other disaster Damages Grasp information Systemの略
※2:東京ガスネットワークや防災科研のサーバー
※3:緊急性が高く被災度大の顧客からアプローチするため、顧客からの対応依頼や問い合わせのサービスコール受電対応も減少する
※4:計測震度相当値

防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始のサブ画像2_図2:地震被害推定システムにより推定される損傷ランク図2:地震被害推定システムにより推定される損傷ランク

  • 「地震被害推定システム」の背景

2020年1月に本計画を発表※5し、第一フェーズは東京23区の既存ヘーベルハウスに設置する地震計のデータを、第二フェーズは首都圏エリアをカバーするアライアンス企業のデータを、第三フェーズはJ-RISQ※6データを活用する前提で、21都府県まで運用を拡げる検討を進めてきました(図3)。
その後2021年から実施した第一フェーズの試験運用※7結果を踏まえ、4,000カ所の地震計ネットワークをもつ東京ガスネットワーク株式会社のデータを活用することで、23区を含めた首都圏全体をカバーすることとしました。その他のエリアについては、J-RISQデータ(防災科研より試験的に配信運用中)を活用し、事業展開する21都府県全エリアをカバーしました。

防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始のサブ画像3_図3:「地震被害推定システム」の当初運用計画図3:「地震被害推定システム」の当初運用計画

 

また、本システムで得られる高密度な地震動情報は、一般の個別建物、構造物、インフラ施設等の即時被害推定や、将来の地震被害想定にも応用できる可能性があります。そのため本取組みで得られる知見を、今後は水害の被害想定システムや、防災におけるSNS情報の活用により、リアルタイムで情報が共有できる仕組み、さらには防災に関する異業種協業などの検討を通して、広く世の中のレジリエンス向上を目指して参ります。
 

  • 東京ガスネットワークのデータについて

東京ガスネットワークでは、地区ガバナといわれる地域毎に設けられた都市ガスの圧力調整器に、地震計(SIセンサー)を供給エリア内の約4,000カ所に設置しています。大規模地震発生時に二次災害を未然に防ぐことを目的に、その観測点のデータを収集・分析し、被害が大きいと推定された地域を素早く見つけ出し、ガスの供給を遠隔で停止できるような超高密度リアルタイム地震防災システム(SUPREME)を構築しています。SUPREMEにて収集した観測点データや各種推定結果を東京ガスiネット株式会社が保有するjishin.netによって、外部にサービス提供しています(図4)。

防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始のサブ画像4_図4:東京ガスネットワークにおける地震情報提供サービス概要図図4:東京ガスネットワークにおける地震情報提供サービス概要図

  • J-RISQについて

防災科研の強震観測網(K-NET、KiK-net)等の観測データに基づき、大地震のような広域災害時に被害全体をリアルタイムに推定,状況を把握するリアルタイム地震被害推定システムです(図5)。現在、更なる社会実装を目指して民間企業等を対象とした実証実験を実施しています。

防災情報システム「LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」21都府県で地震被害推定システムの運用開始のサブ画像5_図5:防災科研によるリアルタイム地震被害推定システム(J-RISQ)概要図図5:防災科研によるリアルタイム地震被害推定システム(J-RISQ)概要図

※5:発表リリース https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20200108/index/
※6:J-RISQ・・・Japan Real-Time System for Earthquake Damage Estimationの略
※7:発表リリース https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20210305/index/

以上

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