「各居住者専用宅配ボックス」と「札幌市街の開発ホテル」
■「2021年度グッドデザイン賞」受賞プロジェクト
1.各住戸玄関に設置する専用宅配ボックス「ライオンズスマートボックス」
2.「北国旅宿」を随所に感じられるホテル「ONSEN RYOKAN 由縁 札幌」
「ライオンズスマートボックス」は、分譲マンションの各住戸玄関に設置する居住者専用の宅配ボックスです。居住者は従来型の宅配ボックスのように、マンションのエントランスまで足を運ぶ必要がなくなり、「置き配」での盗難や雨濡れなどの問題を解決できます。ボックス内には3つの収納スペースを設け、クリーニング品や食品など種類の異なる複数の荷物にも対応できます。昨今の宅配便の増加に伴う再配達などの課題に対応するともに、居住者の利便性を高める取り組みが評価されました。
「ONSEN RYOKAN由縁 札幌」は、当社と三信住建株式会社が開発し、UDS株式会社がデザインした札幌のオフィス街にある地上13階建てホテルです※1。「北国旅宿」をコンセプトに、ロビーのいろりや、土間、畳間、広縁を持つ客室、登別の温泉を用いた大浴場露天風呂など、新しさと伝統的な温泉旅館の居心地の良さを兼ね備えています。北海道産の高級木材「ミズナラ」や「札幌軟石」を建材に使用し、ホテルで提供する備品や食材まで北海道らしさを感じられる全体のデザイン設計が評価されました。
当社は、今後も社会的な課題やお客さまのご要望に寄り添い、新しい商品やサービスをご提供してまいります。
※1:当ホテルは現在第三者が所有し、UDS株式会社が運営しています。
- 1.「ライオンズスマートボックス」概要※2
本製品は当社と株式会社フルタイムシステムが共同開発し、フルタイムシステムによる事前審査を経た配達業者が、入館・宅配ボックス操作用のICカードを使用することで、各住戸専用宅配ボックスに安全に荷物を届ける仕組みを構築しました。ボックスは玄関横に設置し、施錠式の3つの収納スペースを設け、非対面で複数の配達物を受け取れます。さらに、万一の災害に備え、防災備蓄品の収納スペースをボックスの最上段に設置。近年注目されている、在宅避難にも役立てることができます。
製品名 | ライオンズスマートボックス |
提供開始 | 2023年3月(予定) |
収納ボックス数 | 4つ |
サイズ |
高さ160cm、横45cm、奥行き45cm (受取可能サイズ)13cm~77.5cm×38cm×42cm |
導入予定 | 2021年10月に東京都葛飾区で着工した物件 |
※2 2021年10月19日付のプレスリリース「各住戸玄関に設置する居住者専用宅配ボックス「ライオンズスマートボックス(https://www.orix-realestate.co.jp/news/2021/10/release_002097.html)」を開発」を参照。
■グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
コロナ禍以降、配達サービスの業種が多様化する中、さまざまな物を効率的に配達しストレスなく受け取るためのシステムの改善が求められている。このマンション用宅配ボックスは各戸に設置されることを想定し、段ボール箱の宅配物だけでなく、クリーニング店の利用や食料品購入といった、今日的なサービスを複数利用する際にも安心安全を提供するものとなっていることを評価する。今後も、非対面を基本とした宅配サービスのさまざまな業種への拡大が予想されるが、それぞれのサービスの特殊性を受けとめつつ汎用性を確保するアイデアの深化をさらに期待したい。
- 2.「ONSEN RYOKAN 由縁 札幌」概要
本物件は、当社と三信住建株式会社(本社:東京都中央区、社長:信田 博幸)が開発し、UDS株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:黒田 哲二)がデザインを担当しました。物件の斜め向かいには北海道大学植物園の豊かな緑が広がる立地で、植物園越しには札幌を囲む山々が連なり、札幌中心部にありながら北海道の豊かな自然を感じられるホテルです。約20㎡から約40㎡とスタンダードクラスでもゆったり過ごせる全182室で、大浴場には露天風呂やこもり湯や打たせ湯を設けています。
・所在地:北海道札幌市中央区北1条西7丁目6
・交通:札幌市営地下鉄東西線「大通」駅徒歩8分、JR「札幌」駅徒歩13分
・敷地面積:1,071.87㎡
・建築面積:910.46㎡
・延床面積:7,416.00㎡
・構造・階数:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 地上13階
・事業主:株式会社大京、三信住建株式会社
・設計・施工:株式会社イチケン
・デザイナー:UDS株式会社
・着工:2019年1月
・竣工:2020年5月
■特長
・「北国旅宿」をコンセプトに、格子や木の見切り棒といった日本の意匠だけではなく、北海道産のミズナラや札幌軟石を用いることで、日本の意匠と地域性の融合を図りました。
・炉端焼きの火場を中心としたレストランやロビーのいろり端をしつらえ、「温かな火で迎え入れる」北国の旅館らしさを追求しました。
・地元の作家とコラボしたロビーのアートや客室の茶器は、北海道内の素材を使い製作しました。
・大浴場露天風呂は登別カルルスの源泉から運ぶ温泉水を使用しています。
■グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
地上13階建て客室数182室というビル型のホテルでありながら、テラス付き・メゾネット・高天井等の多様な断面形状や、土間・畳間・広縁を用いた客室の構成による多様な空間を備えたホテル。レストランやロビーの待合となるいろり端や、サウナや打たせ湯や露天風呂などさまざまなしつらえの温浴があり「札幌における旅館体験」を味わえる体験が用意された宿泊施設となっている。北海道産のミズナラや札幌軟石など土地を感じる素材の採用は、建材にとどまらず備品や食に至るまで一貫したコンセプトでまとめられ、原初的なそれらの素材感を空間に参加させることで「北海道に来た」という旅の実感を助長させる滞在がデザインされている。
- 3.「グッドデザイン賞」とは
1957年に創設された通商産業省主催のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
グッドデザイン賞公式ウェブサイト http://www.g-mark.org/