金曜日, 10月 11, 2024
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世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施

木造建築を手がけるアキュラホームグループ(※1)(本社:東京都新宿区、社長:宮沢 俊哉)は、9月20日~22日で世界初となる木造軸組工法の耐震構造による「5階建て純木造ビル耐震実験」を国立研究開発法人防災科学技術研究所が有する「実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)」にて実施しました。試験体は日本初の木造軸組工法木造5階建ての川崎展示場(11月下旬オープン予定)を再現。店舗、事務所、賃貸、オーナー宅を想定する大空間、大開口の間取りです。

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像1_想定首都直下型地震加振中の試験体想定首都直下型地震加振中の試験体

 ◆◇ 純木造ビルの安全性、実用性を実証するため耐震実験の実施を決定 ◇◆

 これまで純木造ビルの安全性を確認するための根拠となる実証データが存在しておらず、建築確認申請の審査において、構造上のデータが少なかったため審査に時間がかかるなど、普及の壁がありました。今回の実験では告示波(建築確認の基準となる地震波)と、それを上回る震度7クラスの地震波を計6回加振。どこまで加振すれば損傷するのか、今までにない実証データを取得しました。
今後は建築確認申請などの実用性の根拠として今回の実験データを活用し、日本の街並みに鉄とコンクリートから、木造の街を推進し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。

◆◇ この実験が実現できた理由 ◇◆

 これまで中規模木造建築は、求められる耐震性能や耐火性能を実現するためには多くの費用や技術力が必要となることから、建築されてきませんでした。中規模木造建築では木と鉄骨を併用するハイブリッド構造が使用されていたり、免震装置が設置されていたりするなか、「普及型純木造ビル」はそれらを使わず耐震構造で実現します。これにより大幅なコストの削減と普及できる工法となります。
 アキュラホームは以前から日本の伝統的な工法として、気候風土に適し、最も普及している木造軸組工法にこだわってきました。その技術向上のため多くの費用をかけ、実証実験を伴った研究開発に取り組んでいます。過去4度の実物大耐震実験、大空間と大開口の「超空間の家」による実物大倒壊実験や、耐力壁の強度を競い合う「壁-1グランプリ」への参加など、木の特性を研究してまいりました。それらの知見から「普及型純木造ビル」のプロトタイプが実現。すでに「8階建て純木造ビル」新社屋の着工開始、その近隣にはアキュラホーム技術研究所(仮称)も11月着工予定です。また、日本初の5階建て純木造モデルハウス(川崎展示場)は11月下旬に完成予定です。 

 

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像2_2021年9月の実物大倒壊実験2021年9月の実物大倒壊実験

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像3_8階建て純木造ビル(埼玉県さいたま市西区)8階建て純木造ビル(埼玉県さいたま市西区)

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像4_5階建てモデルハウス(神奈川県川崎市) 5階建てモデルハウス(神奈川県川崎市) 

◆◇ 共同研究者の方々のコメント ◇◆

 アキュラホームはこれまでに数多くの実証実験を通して木の特性を知り尽くしてきました。その知見を活かし、これまでにコミュニケーションを密に取ってきた東京大学、京都大学の各専門家の方々との共同研究で実現しました。

①稲山 正弘氏(東京大学大学院 木質材料研究室 教授)

 今回の耐震実験では、木造軸組工法による5階建ての試験体に対し、ロサンゼルス地震(ノースリッジ)、想定首都直下地震という震度6強の地震波を入れた後、建築基準法の基準とされている告示波と呼ばれる地震波をX方向、Y方向から入れて耐震性を確認しました。その結果、構造体、外装材、サッシのガラス等も含めてほぼ無被害で、非常に高い耐震性が証明されました。
 今回の設計基準をもとにすれば、木造かつ5階建てであっても大地震に対してほぼ無被害で住み続けられるような建物をつくることが技術的に可能であることが実証されたことになります。これまで木造5階建てビルの耐震設計基準というものは存在しませんでしたが、今回得られたデータが、今後、木造5階建てビルを建築する際の構造体、外装材、開口部等についての基準として十分活かせるのではないかと考えております。

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像5_稲山 正弘氏(東京大学大学院 木質材料研究室 教授)稲山 正弘氏(東京大学大学院 木質材料研究室 教授)

 

 

 ②五十田 博氏(京都大学 生存圏研究所 教授)

 実際の建物をつくり、それを試験体として行う「実物大実験」というのは非常に希少で勇気のあることだと思っています。私は「この建物はこの方法で建てていけば安全なものができる」という設計手法の確立に着目していますが、木造軸組工法による5階建てを建築していく上で安全な建物ができそうだということが実験を通じてわかりました。今回得られたデータは一事例とはいえ、今後の中規模木造建築にとってとても有益なものであることは間違いありません。これを起点に、より安全性の高い建築物を求めて設計法を究めていくことが次なる課題です。

 

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像6_五十田 博氏(京都大学 生存圏研究所 教授)五十田 博氏(京都大学 生存圏研究所 教授)

 ③中川 貴文氏(京都大学 生存圏研究所 准教授)

 私が手掛けた木造構造倒壊解析用ソフトwallstat(ウォールスタット)は、もともと軸組工法をメインターゲットとして開発したものです。最近では2×4やCLT工法も解析できるようになってきましたが、世界初となる今回の純木造5階建てビル耐震実験によって大変貴重なデータが得られたことで、今後は本家本元である軸組工法による中層建築物までフォローできるようになるというのが、wallstatのさらなる進歩につながるのではないかと思います。

世界初の木造軸組工法「5階建て純木造ビル」実大耐震実験 国の基準である地震波で倒壊・損傷なしの実証データを取得 それを上回る震度7クラスの地震も実施のサブ画像7_中川 貴文氏(京都大学 生存圏研究所 准教授)中川 貴文氏(京都大学 生存圏研究所 准教授)

【実験概要】
実験日:2022年9月20日(火)~22日(木)
試験場:E-ディフェンス
構造 :木造軸組工法による耐震構造
階数 :5階建て
平面 :1~4階 8.19m×12.285m
    5階 5.005m×12.285m
高さ :16.404m
共同研究者:稲山 正弘氏(東京大学大学院 教授)、五十田 博氏(京都大学 教授)、
      中川 貴文氏(京都大学 准教授)
地震波:想定首都直下型地震、ロサンゼルス地震(ノースリッジ地震)50%・100%、
    告示波、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)、新潟中越地震

 ※1 アキュラホームグループ: 株式会社アキュラホーム、株式会社アキュラホーム埼玉、株式会社アキュラホーム 神奈川、株式会社AQ建築、株式会社アキュラホーム東京中央、株式会社ハウスロジコム、株式会社オカザキホーム(愛知県)、株式会社福工房(静岡県)

※世界初:木造軸組工法の耐震構造による5階建て純木造ビルの耐震実験(自社、共同研究者調べ)

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