景観保全・高齢者配慮にも応える“暮らしを支える箱”が歩んだ30年
金属製品の加工・製作・販売をおこなう株式会社ナカノ(本社:富山県黒部市、代表取締役社長:中野 隆志)が開発したゴミステーション「ダスポン」は、2025年で誕生から30周年を迎えます。
また、家庭用のゴミステーション「ホームスライドダスポン」も同年に5周年を迎えます。
本ニュースレターでは、「ハコの日」に合わせて、ダスポン誕生からの軌跡をご紹介します。
■8月5日は「ハコの日」
「ハコの日」は、“ハ(8)コ(5)”の語呂にちなんで、東京紙器工業組合が1991年に制定した記念日です。
私たちが開発・製造するゴミステーション「ダスポン」もまた、“暮らしを支える箱”として誕生し、今年で30年の節目を迎えます。
地元住民からのカラス被害などの相談依頼や、少子高齢化によるゴミ出し環境の変化に対応する中で、より安全で使いやすい形を追求し、改良を重ねてきました。
“箱”というかたちに込めてきた思いや工夫を、この節目にあらためて振り返ります。
1995年 ダスポン初号機 NAシリーズ誕生
地元の町内会長から、ゴミ集積庫に関するさまざまな課題――錆び・扉の重さ・カラスによる被害など――について相談を受けたことが、ゴミステーション開発のきっかけでした。
オールステンレス製で、シャッター式構造を採用した「NAシリーズ」は、特にカラス対策に高い効果を発揮。実際に使われた方々の声が口コミで広まり、県内の町内会を中心に、5年間で200台以上を販売しました。
「困っている地域の役に立てる製品」として、私たちにとっても大きな転機となる製品でした。

1998年 大容量の物置タイプ NALシリーズ誕生

戸数の多い地区や集合住宅に対応した、大型タイプのダスポン「NALシリーズ」の販売が始まりました。
現在は、扉を多彩なカラーバリエーションから選択できますが、発売当初は、本体・扉ともに同素材・同色で、ステンレスが用いられていました。
2002年 【ダスポン】を商標登録
「ダストボックスにポン」というフレーズから着想を得た「ダスポン」を商標登録。自社製品による新たな事業展開を本格化させていく、大きな転機となりました。
2002年 DSシリーズ誕生
NAシリーズでは、経年劣化によって扉の開け閉めが重くなったり、メンテナンスが必要になるという課題がありました。
そこで、観音開き構造を採用したゴミステーション「DSシリーズ」を発売。
発売以降、少しずつ改良を重ねながら、現在も安定した販売を続けるベーシックラインです。

2003年 SAシリーズ誕生

扉が折り戸構造になっており、本体スペース内で開閉できる設計が特長の「SAシリーズ」。本体幅からはみ出さないため、両側が壁に囲まれていても設置できるうえ、片手で扉の開閉ができる画期的なゴミステーションでした。
約50台が設置されましたが、現在は販売を終了。今後、新モデルとして登場する予定です。
2015年 600か所超の集積所を現地調査 新型ダスポンの開発に着手
ゴミステーションの開発から20年が経った2015年。ゴミ集積所で、高齢の方がゴミ袋を重そうに持ち上げ、投入口に入れている姿を目にしたことがきっかけとなり、少子高齢化が進むこれからの時代に対応したゴミステーションの必要性を強く感じ、新型ダスポンの開発に着手しました。
現状を把握するため、地元のゴミ収集会社の社長に協力を仰ぎ、社員が1週間現場に入り込んで、600か所以上のゴミ集積所を訪問・調査。多様な形状や素材の製品をデータ化し、社内で徹底的に分析を重ねました。
「本当に必要とされるゴミステーションとは何か」を追求する中で、負担の少ない扉の開閉動作に特に着目。試作を繰り返すものの、理想の使い心地にはなかなか到達せず、100か所以上の修正を施すことになりました。
扉の開閉耐久性を確認するために独自のテスト機も開発し、15万回以上の開閉試験を実施。きしみや引っかかりのない、なめらかな開閉動作を実現しています。

2018年 横スライド式扉 新型ダスポン「スライドダスポン」誕生

開発に2年半もの歳月をかけ、7台目の試作機にしてようやく、ステンレス製で横スライド式扉が特徴の、新型ダスポンが誕生しました。
投入口が天板部分から足元まで大きく開く構造のため、ゴミの出し入れがしやすく、高齢の方や力の弱い方にも配慮された設計となっています。また、流線型の洗練されたデザインも大きな特徴であり、完成した2018年にはグッドデザイン賞を受賞しました。


2020年 コロナ禍で変わるゴミ事情 家庭用「ホームスライドダスポン」誕生

コロナ禍によりテイクアウト容器や宅配便の包装ゴミが増加し、自宅室内にゴミが溜まるという不快感を抱える方が増えました。そこで、スライドダスポンを個人宅向けに小型化したゴミステーション「ホームスライドダスポン」を開発。屋外に設置できるスタイリッシュな家庭用モデルとして誕生しました。
本体はステンレス製と黒ZAM®製の2種類をラインアップし、鍵なしのスタンダードモデルと、鍵付きのプレミアムモデルを展開。ECサイトでの販売も開始しました。
また、物流の2024年問題に伴い「置き配」での荷物受け取りが増えたことから、鍵付きモデルは宅配ボックスとしても注目を集めています。他にも、洗車用品や外遊び用のおもちゃの収納など、多用途に活用できる点もご好評いただいています。
2023年 「インテリジェントダスポンシリーズ」誕生
セキュラ株式会社(本社:山口県下関市、代表:藤井 英定)のスマートロック機能を搭載した製品が、「インテリジェントダスポン」です。
スマートロックとは、暗証番号の入力や専用カードキー、交通系ICカードなどをカードリーダーにかざすことで解錠できる機能を指します。
この機能により、特定の方以外は開けられないため、ゴミからの個人情報流出リスクを抑制。一人暮らしの方でも安心してゴミ出しができる仕様となっています。

■時代のニーズに合わせて進化し、社会と共に歩んだ30年
ダスポンは、1995年の誕生以来、地域の声や時代の変化に応えながら、さまざまな形状へと進化してきました。
集合住宅・町内会向けの大型タイプから、個人宅向けの小型タイプまで、「ちょっとした不便を解決する箱」として、現場に寄り添うものづくりを続けています。
利便性や耐久性はもちろん、景観に調和するデザイン性も追求しながら、使う人の毎日に自然となじむ製品へと育ってきました。
誕生から30年。変わりゆく暮らしのそばに寄り添いながら、これからも妥協のないものづくりを重ね、進化を続けてまいります。
【会社概要】
社名:株式会社ナカノ
代表:代表取締役社長 中野 隆志
本社所在地:〒938-0043 富山県黒部市犬山213-1
TEL:0765-52-1896(代)
設立:1990年7月
事業内容:多機能BOX DUSPON® ブランド運営(企画~製作・販売)、
搬送関連製品設計~製造、浄水設備部品及び建材金物製造、医薬品装置製造等
資本金:3,000万円
従業員数:37人(2025年7月現在)