循環型社会を目指す次世代のリノベーション手法として評価をいただきました
「自分の空間を編集するための“道具箱”」をコンセプトに、内装に関わる商品とアイデアを提供する「toolbox(ツールボックス)」(運営会社:株式会社TOOLBOX、所在地:東京都新宿区)は、一般社団法人リノベーション協議会が主催する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024」において、総合グランプリを受賞しました。
受賞したのは、築57年のメゾネット住戸を舞台に「既存を活かす」をテーマとした実験的リノベーションプロジェクト『ReMAKE -既存の内装を活かす試み-』。通常のスケルトンリノベーションとは一線を画す、既存をリメイクする手法や、循環型社会を目指すサーキュラー・エコノミーの考え方に呼応した点が高く評価されました。
リノベーション・オブ・ザ・イヤーとは
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」は、1年を代表するリノベーション作品を選出するコンテストです。施工費別に「800万円未満部門」「1500万円未満部門」「1500万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設け、全国からエントリーされた計226作品をSNSによる一般投票と住宅系メディア編集者など選考委員8名による審査を経て、総合グランプリを含む受賞作品が選出されました。
受賞プロジェクト『studyroom#1』とは
『studyroom』は、toolboxの施工チーム「ツールボックス工事班」が、内装加工技術や内装建材の研究・開発を目的とし、自社事業としてリノベーションした実験プロジェクトです。その第一弾である『studyroom#1』では、「ReMake(再構築)」をテーマに、既存の内装を素材と見立て、極力壊さずに、2次的に手を加えることで空間の質を変えるアプローチに挑戦しました。
舞台となったのは、築57年のマンション。2LDKのメゾネット住戸で、各部位は比較的新しく機能面としては継続使用が可能な状態でありながらも、断片的なリフォームにより意匠の統一性を欠いていました。現場の職人のアイデアやスキル、コンセプトへの共感を軸に、既存内装建材、設備を撤去せずに活用する手法を見出しながら、全体を再構築。解体による廃棄物や下地の再制作費用を軽減すると同時に、スケルトンを前提としない新たなリノベーション手法を見出しました。
『studyroom#1』のリノベーションポイント
間取りは大きく変えていませんが、想像できる暮らしは大きく変わりました。
(1)システムキッチンをリメイク
I型キッチンを切断し、L型に変更。
(2)既存フローリングの再利用
塗装技術でタイル風にリメイクし、既存を生かしつつ表層を一新。
(3)間柱と横胴縁の再利用
仕切り壁の間柱と横胴縁を生かし、視線の抜けを創出。棚としても再利用。
リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024における評価
審査員によりいただいた評価を一部抜粋してご紹介いたします。
「圧倒的な特殊解でありつつ次世代の一般解となることを予感させる作品だった。(中略)スケルトンに解体した後でまっさらな住空間を再構築する通常のリノベーションに比べて、現場の職人のアイデアやスキルはもちろん、なによりコンセプトへの共感なくしてはなし得ない仕事だったことは想像に難くない。(中略)このアプローチは、最先端のサーキュラー・エコノミーのコンセプトに呼応したものと評価できる。「ReMAKE」が総合グランプリを獲得したポイントは、循環というコンセプトの徹底とそこへの強い意志だ。そのことは、エントリー情報から読取ることができる以下3つのポイントに表出している。
・コンセプトを体現したデザインの新しさ(見た目に違いがわかる)
・既存の活用度(間仕切り壁は壊さず既存の間取りも残すなど)
・普及啓蒙への意欲(WEBでのノウハウの公開など)」
島原 万丈(株式会社LIFULL LIFULL HOME’S 総研所長)
「リノベーションが浸透し始めて15年以上年の月日が過ぎた。今やSUUMOの中古マンション情報の半数以上がリフォーム済みの掲載だ。ただ多くのリノベ済み物件は室内は新築内装の設えだ。新築に比べてコスパ良いと消費者にも受けが良い。他方で、リノベの本質ってなんだったっけ?古いものを新しくするだけ?いや違うよな。元の建物デザインや地域の特性、脱炭素や福祉などの社会的なニーズを読み解いて、今のニーズにアップデートする。先回りして提示するほうが正確かもしれない。その原点に立ち戻ろうというメッセージを感じさせるものが多かった。総合グランプリの「ReMAKE」-既存の内装を活かす試みもそのひとつだ。」
池本 洋一(株式会社リクルート SUUMO 編集長)
「価値観や住まい方の多様化、中古住宅の品質向上、建設費高騰に伴う住宅価格の上昇、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行――。総合グランプリに選ばれた「『ReMAKE』-既存の内装を活かす試み-」は、そんな複雑な時代に揉まれ、生み出された象徴的な事例として、多くの選考委員から高い支持を集めたように思う。」
木村 駿(株式会社日経BP 日経アーキテクチュア編集長)
受賞作品一覧と審査員による講評は以下のサイトにてご覧いただけます。
https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html
プロセスの公開
『studyroom#1』の過程は、記事やInstagramライブを通じて公開しました。
特集「工事班の現場通信」:https://www.r-toolbox.jp/stories/editorsboard/series/3171/
Instagram:https://www.instagram.com/r_toolbox/
また、施工手法やアイデアは、弊社ウェブサイト「How to make」コーナーで全9本の記事として詳細を公開中です。
I型のシステムキッチンを2つに切って、L型にリメイクしてみた
空間の全容は以下よりご覧いただけます。
https://www.r-toolbox.jp/stories/usersreport/89065/
https://www.youtube.com/watch?v=SVi74q_zo-A
今後の展望
『studyroom#1』はリノベーションにはもっと可能性があると思っており、その中の一つとして手法を編み出せたらという思いで望んだプロジェクトです。「studyroom」は第2弾、第3弾と続く予定です。これからもリノベーションを手がける皆様とともにリノベーションの新しい可能性を追求していきます。
「studyroom#1」詳細
物件概要
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所在地:東京都新宿区
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主要用途:専用住宅
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主体構造・構法:鉄筋コンクリート造
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階数:地下1階 地上11階 (改修住戸メゾネット)
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延床面積:57.30㎡
設計
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株式会社TOOLBOX:荒川公良/一杉伊織/渋谷南人
施工
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現場監理:株式会社TOOLBOX 渋谷南人
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大工:SUNRICH 三浦豊弘
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家具:瀬尾商店 瀬尾洋介
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電気:本間電気 見田諭
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塗装:塗りlabo+ 工藤文紀
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左官:大橋左官 大橋和彰
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衛生:plumber 北林真之介/宇津木健
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タイル:加賀谷タイル 加賀谷悟
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化粧フィルム:相内内装 相内大賛
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解体:ビクトリーワークス 石畠隆広
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特殊解体:Cabbage Truck 渡邉光
『studyroom#1』は東京R不動産にて販売しています。
https://www.realtokyoestate.co.jp/estate.php?n=20476
株式会社TOOLBOX
「自分の空間を編集するための“道具箱”」をコンセプトに、内装建材やリノベーションサービスなど約2,200点を提供するウェブショップ。仕上げ材から設備機器、家具、照明、小物パーツまで内装全般を取り扱い、オリジナル商品も多数。サイト内では部屋づくりの参考となるイメージや、アイデアを掲載していることも特徴。東京(目白)と大阪(中津)にショールームがあり、商品を実際に見て確認することも可能。
https://www.r-toolbox.jp/