不動産業界のDXに取り組む株式会社いえらぶGROUP(本社:東京都新宿区、代表:岩名泰介、以下「いえらぶGROUP」)は、不動産の業者間流通プラットフォーム「いえらぶBB」のデータをもとに、2023年4月と2024年4月の賃貸物件の市場動向を分析しました。
1. シングル向け賃料が31の都道府県で上昇。石川県、熊本県では2桁の伸び!
インフレを受けて、全国的に賃料が上昇したと推測。能登半島地震で被害を受けた石川県(前年比+14.8%)、TSMCファウンドリーによる経済効果で地価が伸びた熊本県(同+10.1%)の上昇が顕著。
2. 23区のファミリー向け賃料は3.3万円上昇!都心と大阪中心部の値上がりが目立つ
都心回帰の動きが表れる結果に。副都心地区が30.7%、城南地区が22.1%、大阪中心6区が14.3%の上昇。賃貸志向増加の傾向も。
1. シングル向け賃料が31の都道府県で上昇。石川県、熊本県では2桁の伸び!
全国31の都道府県でシングル向け(※1)の賃料が上昇しました。地価や建設コストの値上がりによる住宅価格の高騰も一因と考えられます。
中でも大きく上昇したのが石川県(昨年比+14.8%)と熊本県(同+10.1%)です。
石川県での上昇は2024年1月の能登半島地震が主な要因と推測されます。石川県の発表によると、全壊・半壊した住宅は8万棟を超えました(※2)。供給量の減少に加え、復興支援事業のための転居も増えたと想定されます。
過去には、2011年の東日本大震災の前後で、仙台市内の賃料が20%ほど上昇していました(※3)。また、2016年の熊本地震でも物件が全く見つからず、抽選倍率10倍の賃貸物件もあったと報じられています(※4)。
熊本県での上昇は半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)のファウンドリー建設が主な要因と推測されます。
ファウンドリーが建設された菊陽町、隣接する大津町では公示地価が2023年から大きく上昇しました。大津町では前年比33.2%上昇、菊陽町では30.8%上昇しており、商業地では全国トップの地価上昇率です(※5)。これらのエリアではシングル向け賃料が8万円を超える物件も複数見られます。この金額は東京都(7.5万円)や大阪市中心部(6.6万円)のシングル向け賃料の平均値を上回ります。
2024年にはTSMC国内2つ目のファウンドリー計画も発表されており(※6)、合計した経済効果は10年間で20兆円とも言われています(※7)。
TSMC以外の企業も国内で半導体工場の建設計画を進めています。
ラピダスはトヨタ自動車やソニーグループなど8社が出資して2022年に設立した新しい半導体製造会社です。現在、北海道の千歳市で工場の建設を開始しており、総投資額は5兆円に及ぶと発表されています(※8)。千歳市栄町は2023年に住宅地の地価上昇率が30.1%で全国1位、2024年は23.4%で2位でした(※5)。
同じく半導体大手のロームグループは、宮崎県国富町で宮崎第2工場の整備を進めています。宮崎県の賃料も前年に比べ10.0%上昇しています(※9)。
シングル物件は単身者や特定の目的を持った単身赴任者による入居が主となるため、地方経済に影響を与える開発・政策が実施された場合には、顕著に上昇する傾向があります。
2. 23区のファミリー向け賃料は3.3万円上昇!都心と大阪中心部の値上がりが目立つ
都心回帰の動きが表れる結果になりました。23区のファミリー向け賃料は18.4万円から3.3万円上昇(前年比+17.7%)の21.7万円になりました。
リモートワークを取りやめた会社もあり、都心需要が高まったと想定されます。賃貸住宅だけでなく都内のオフィス賃料も上昇しており、デベロッパー大手の森ビルは最高益を発表しました。
特に賃料上昇が大きかったエリアは、副都心地区(前年比+30.7%※10)、城南地区(同+22.1%)、大阪中心6区(同+14.3%)です。
不動産経済研究所の発表によれば、2023年の東京23区の新築マンション平均価格は1億円を超えました(※11)。全国宅地建物取引業保証協会は、住宅価格の高騰を背景に「持ち家志向が10ポイント下がった」との調査結果も発表しています(※12)。今後も、特に供給戸数が少ないファミリー向けの物件においては賃料が上昇する可能性があります。
■いえらぶGROUP 常務取締役 庭山健一 コメント
今回のレポートでは、地震やインフラ整備・産業集積が地域の賃料に大きな影響を与えていることが分かりました。また、全体としては都心回帰の動きも顕著に表れており、特にファミリー向け賃貸市場が活性化しています。
賃貸市場は複合的な要因によって変化しています。いえらぶGROUPでは、今後ともこれらの多様な局面に対応できるよう、不動産業者の皆さまに寄り添った情報提供とサポートに努めてまいります。
また、賃貸管理をする不動産会社様には、防災対応ガイドラインもご用意しております。下記よりダウンロードできますので、是非ともお手元に置きご活用いただけますと幸いです。
▽無料ダウンロード「賃貸管理会社向け防災ガイドライン」
https://ielove-cloud.jp/downloads/disaster-pre/
■調査概要
調査期間:2023年4月1日~2023年4月30日、2024年4月1日~2024年4月30日
調査機関:株式会社いえらぶGROUP
調査対象:「いえらぶBB」に掲載された物件データ
有効サンプル数:2023年4月期10万件、2024年4月期10万件
調査手法:「いえらぶBB」の掲載データよりランダムに抽出し集計
▽本リリースに関する問い合わせ
https://ielove-cloud.jp/news/entry-867#mail
■いえらぶGROUPについて
いえらぶGROUPは「ITの力を使って不動産会社の業務を効率化する」「誰もが快適に住まいを探せる環境をつくる」を使命に、2008年に誕生した不動産テック企業です。不動産業界向けバーティカルSaaS「いえらぶCLOUD」「いえらぶBB」は全国25,000社以上で利用されています。
SaaSの提供だけでなく、グループ各社を通じてSNSマーケティングや賃貸管理業務・駐車場運営管理の代行など、幅広く不動産業界を支援しています。また、利益相反の観点からも、宅地建物取引業者の登録・不動産取引業に参入する予定はございません。
会社名:株式会社いえらぶGROUP
代表者:岩名泰介
設立 :2008年1月
資本金:3,825万円
所在地:東京都新宿区西新宿 2-6-1 新宿住友ビル24階
コーポレートサイト:https://www.ielove-group.jp/
不動産事業者向けサービス紹介サイト:https://ielove-cloud.jp/
※1 シングルタイプ:30平米未満、カップルタイプ:30平米以上50平米未満、ファミリータイプ:50平米以上70平米未満、大型ファミリータイプ:70平米以上の物件
※2【NHK】「石川県 能登半島地震の住宅被害 8万棟超える 全壊は8000棟超」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240521/k10014456631000.html
※3【三井トラスト基礎研究所】「マンション賃料インデックス」
https://www.smtri.jp/market/mansion.html#anchor01
※4【日本経済新聞】「みなし仮設 進まぬ利用 熊本地震、賃貸物件の希望合わず」https://www.nikkei.com/article/DGXLASJC19H1N_U6A520C1ACYZ00/
※5【国土交通省】「令和6年地価公示の概要」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf
※6【NHK】「TSMC 日本で2番目の半導体工場 熊本県に建設と正式発表」
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20240207/5000021264.html
※7【公益財団法人九州経済調査協会】「九州における半導体関連設備投資による経済波及効果の推計」
https://www.kerc.or.jp/report/2023/12/post-58.html
※8【日本経済新聞】「ラピダスが北海道変える 投資5兆円、半導体工場の衝撃」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC028G30S3A600C2000000/
※9【ローム株式会社】「ロームグループ ラピスセミコンダクタが宮崎県及び国富町と宮崎第二工場に係る立地調印式を実施」
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2023-12_topics_miyazakilapis&defaultGroupId=false
※10 各地域の詳細
※11【不動産経済研究所】「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年のまとめ」
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/573/ss2023.pdf
※12【公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会】「住宅居住白書」
https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/09/2023-fudousan-anke-to.pdf
※13【住宅新報】「高級賃貸住宅市場、拡大へ 住友不、新宿に新たな高級賃貸 若い経営者の需要高く」