火曜日, 11月 5, 2024
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相続と空き家を建築で解いたキノアーキテクツの不動産プロジェクト、2023年度グッドデザイン賞を受賞

「誰もが通る可能性がある人生の出来事、相続に一石を投じたプロジェクト」と審査員

株式会社キノアーキテクツ(本社:東京都新宿区)がプロジェクトマネジメントおよび建築設計監理を手がけた「カーザベルジ」が、2023年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したことをお知らせいたします。

相続と空き家を建築で解いたキノアーキテクツの不動産プロジェクト、2023年度グッドデザイン賞を受賞のサブ画像1

「カーザベルジ」は、都内にある旗竿敷地の相続を円満に行うため、4人の被相続人らとキノアーキテクツが手がけた5軒長屋プロジェクトです。土地の4代目にあたる4兄妹が相続を迎える前に、法人を設立し事業ローンを組み、集合住宅を建設。家賃収入でローンを返済しながら株式で間接的に不動産を保有、相続も可能にする仕組みをデザインしました。

地価上昇を続ける都内に若年世代が住居を構えるのは困難になる一方で、増え続ける空き家は社会問題になっています。少子高齢化で被相続人の平均年齢が50歳代以降となり、いざ相続を迎えても住宅保有率が高く、需給のミスマッチが起きていることが空き家増加の一因と言われます。

次世代への資産移転が相続によって阻まれる状況は、良質な住環境を若年のうちに取得できる仕組みがあれば打開できることを、キノアーキテクツはカーザベルジで実証しました。複数の被相続人がいる場合も、相続と新築を同時に捉えれば解決することができます。

相続と空き家を建築で解いたキノアーキテクツの不動産プロジェクト、2023年度グッドデザイン賞を受賞のサブ画像2_南側に窓を大きく開けた2階リビングルーム©︎KINO architects南側に窓を大きく開けた2階リビングルーム©︎KINO architects

カーザベルジにおいて、父母の住戸は土地を見守ってきた大きな赤松を避けるよう南東角に設け、4兄妹の住戸は平等に短冊状の配置にしました。既存樹を避けて架けた大きな庇が5住戸をつなぎ、庇は北側に玄関アプローチ、南側に庭とテラスをつくっています。雨露をしのぐ軒下で住民の往来が育まれ、付かず離れずの関係をうみ出しています。

相続と空き家を建築で解いたキノアーキテクツの不動産プロジェクト、2023年度グッドデザイン賞を受賞のサブ画像3

【審査委員の評価とコメント】

「相続」という誰もが通る可能性がある人生の中での大きな出来事に一石を投じるプロジェクトだ。円満な相続を目指した被相続人4名は、法人を設立し、事業ローンを組み、相続する土地に集合住宅を建設した。その家賃収入でローンを返済し、株式でも間接的に不動産を保有しているのだという。相続のタイミングで賃貸住宅を建設するケースは世に多く見られるが、その大半が「建てたい建築をつくる」という視点からかけ離れている中で、このプロジェクトでは、自分たち自身が建てたい建築を自分たちで建てるという視点を貫いており、審査委員一同の好感を集めた。今回の受賞を機に、ぜひ、世の中に広くこのストーリーと仕組みが広がってくれることを願う。

【キノアーキテクツ束野由佳コメント】

相続問題が降りかかる以前の若年世代が皆、不動産利用を自分事として捉えられれば、無尽蔵に土地が切り刻まれる事態や風景の断絶を回避できるはずだと考えました。ここは私自身が生まれ育った場所でもあります。土地の記憶を継承しながら、兄妹皆が平等に良質な住環境を取得できる仕組みがデザインできたと自負しています。キノアーキテクツのグッドデザイン賞受賞は本作品で7作目になります。

相続と空き家を建築で解いたキノアーキテクツの不動産プロジェクト、2023年度グッドデザイン賞を受賞のサブ画像4_束野由佳 木下昌大 KINO architects ©︎TAKA MAYUMI束野由佳 木下昌大 KINO architects ©︎TAKA MAYUMI

□施設名:カーザベルジ
□所在地:東京都新宿区
□主用途:集合住宅
□構造:木造一部RC造 地下1階地上2階
□敷地面積:517.57㎡
□建築設計:キノアーキテクツ 木下昌大 束野由佳
□URL:https://www.kinoarchitects.com/works/casa-verde/

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