月曜日, 12月 23, 2024
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建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!

関東ロームの断熱性・吸放湿性・蓄熱性を活かし、快適な温熱環境を実現

資源循環のための素材開発と環境建築を目指すプラットフォーム「クリエイティブリソース」を展開しているASEI建築設計事務所(代表:鈴木亜生、事務所:東京都港区芝公園)は、建設発生土の不適切な処理などで社会問題にもなっている関東ロームの循環利用を目指し、関東ロームを配合した「関東ロームブロック」の製造開発に国内で初めて成功しました。その関東ロームブロックや関東ローム左官を祖師ヶ谷大蔵の住宅の外壁や床などにふんだんに利活用し、5トンの関東ロームを循環利用しました。

 

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像1_正面外観正面外観

■ クリエイティブ・リソースとは?

クリエイティブ・リソース(Creative Resource)とは、地域で眠っている資源や都市で棄てられている資源に価値を見出し、環境素材の開発から環境と調和した建築づくりを通して、資源循環のしくみをつくり、建設サステナビリティの実現を目指す実証実験プロジェクトです。メンバーは建築家、構造家、研究者、製造者、メーカー、技術者、職人が連携したチームで構成されています。

▼ 詳細につきましてはこちらの資料をご覧ください。

https://prtimes.jp/a/?f=d117787-20230311-83801ce3546b5d9e6ad35cbe40ce610f.pdf

■ 未利用資源の建設発生土を建築材料へ利活用

未利用資源利活用の取り組みを続けている私たちクリエイティブ・リソースの開発チームが、関東ロームという関東地方近郊に広がる未利用資源に着目したのは、2016年。この年に東京都は建設資源循環を取り巻く状況を踏まえた新たな仕組みとして策定した「東京建設リサイクル推進計画」を修正し、オリンピックまでに建設発生土リサイクル率95%を目指すと発表した年である。ただ、今年4月の東京都の発表では、建設発生土リサイクル率の実績値は70%で、令和6年度までには88%を目指すと更新されている。再利用のほとんどは土木工事の埋戻し用であり、建築では礫や有機物除去など安定処理の手間などで利用促進が進まない状況が続いている。5年余りの間、私たちは建設発生土の建材化による循環利用を目指し、関東ロームを配合したブロック、レンガ、左官の試作を重ねてきている。そして、同時に開発した素材の特性を活かした構造、空間の在り方の研究も行っている。住宅では本プロジェクトが最初の試みとなった。

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像2_建設発生土処理場建設発生土処理場

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像3_関東ローム赤土関東ローム赤土

 

■ 祖師ヶ谷大蔵の二世帯住宅「LOAM」について

敷地のある祖師ヶ谷大蔵の住宅街は、私道や位置指定道路が多く、道路を共有した街区が密集しているため、閉鎖的な家は少なく、互いが配慮し合い街路を介して暮らしが感じられる街並みになっています。敷地にはもともと祖父母が二人で住まわれていたが、祖父の他界を機に、息子夫婦との二世帯住宅に建替えることになりました。都内では比較的広い土地にあって、世帯で土地を小割にしてしまうような建ち方を避けるため、二世帯を南北に連棟し、街路を両棟の間に導くようにして、ボリュームを雁行させてできた「立体路地」を共有しています。路地に介在する自然を通して、家族のつながりと距離を保つことができます。両棟の各スペースが路地越しに多層化して見え、敷地環境を回遊する空間になっています。

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像4_中庭中庭

■ 関東ロームの性質を活かした快適な暮らし

関東ロームは、これまで開発したシラスと違い粘土質のため、熱容量が多く蓄熱性が高い土です。また、複数の粒子が内部に空洞をもった団粒構造のため断熱性、吸放湿性、保水性、排水性が高いという多くの特性を合わせ持っています。テラスの南面とコモンテラスの北面には、関東ローム土を珪砂とセメントに配合し加圧成型した「関東ロームブロック」を江戸簾のように吊り式のスクリーンを設け、適度なプライバシーを確保し、日射の抑制を図っています。同じ製造方法による関東ローム平板ブロック敷きとした路地床と関東ローム配合左官仕上げの壁で囲まれた立体路地は風洞でもあり、このスクリーンから取り入れた光・熱・風を夏は冷却、冬は蓄熱して室内に取り込み、温熱調和の機能を果たします。関東ロームという東京の未利用資源が、自然を顕在化させ、家族の関係をつなぐ新たな媒体になっていくことを期待しています。

 

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像5_関東ロームブロックスクリーン関東ロームブロックスクリーン

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像6_関東ロームブロックタイル(黒土)関東ロームブロックタイル(黒土)

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像7_関東ロームブロックタイル(赤土)関東ロームブロックタイル(赤土)

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像8_リビングダイニングリビングダイニング

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像9_コモンテラスコモンテラス

 

 

 

  • 「となりのスゴイ家」3月17日(金)夜9時放送!

BSテレ東「となりのスゴイ家」にて2023年3月17日(金)夜9時から「LOAM(前田邸)」が放送されます。アンガールズの田中卓志さんと女優の遼河はるひさんに訪問いただき、お施主様がご案内する様子をご覧いただけます。
番組HP>https://www.bs-tvtokyo.co.jp/sugoie/

建設発生土としての関東ロームを初めて建材化した二世帯住宅「LOAM」が完成!のサブ画像10

 

■ 今後の展開について

現在、関東ロームブロックによる室内外の温熱環境の温度・湿度の測定を行っており、データ取得した数値を分析して、その効果を検証します。そして、本住宅での実証実験の成果を踏まえて、関東ロームを利活用したブロック、タイル、レンガ、左官の製造開発をさらに進め、建設発生土の循環利用拡大を目指していきます。また、本取り組みによる資源循環利用のしくみや温室効果ガス削減効果の可視化にも取り組んでいく予定です。
 

■ プロジェクト概要

建物名称:LOAM
建築主:個人
所在地:東京都世田谷区祖師谷
主要用途:専用住宅(二世帯住宅)
家族構成:祖母+息子夫婦+孫2人
階数:地上2階
軒高:5,68m 最高の高さ:5,80m
敷地面積:239.92m2
建築面積:141.34m2(建蔽率58.91% 許容70%)
延床面積:193.88m2(容積率80.81% 許容150%)
1階:79.26m2
2階:114.62m2
設計期間:2020年2月〜2020年10月
工事期間:2021年11月〜2022年8月
設計監理: ASEI建築設計事務所

 

 

■ 本リリースに関するお問い合わせ

ASEI建築設計事務所
TEL:03-5747-9420
E-mail:info@asei.jp
担当者:鈴木
URL:https://aseiarchitects.com/

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