事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志、東証プライム:2120)は、早稲田大学総合研究機構 組織経済実証研究所と共に、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」に蓄積されたデータの詳細な分析によって、おとり物件を取り締まる施策の効果を検証し、インターネット広告における、おとり物件問題解決の手段を導くことを目的とした、おとり物件掲載の意思決定と自主規制の効果に関する共同研究を、2023年2月2日(木)より開始します。
- 共同研究の背景
不動産情報サイトには、いわゆる「おとり物件」といわれる物件情報が掲載される場合があり、過失故意問わず、貸す(売る)意思のない物件や取引できない物件の広告を行うことを指しています。発生する要因として、不動産広告を掲載する不動産仲介会社では、物件の募集状況をリアルタイムに把握するのが難しいことや物件情報の更新漏れなどから、結果として、募集が終了した物件が継続して掲載され、「おとり物件」となる事が多くあります。
「おとり物件」の課題は、消費者が本来希望していた物件と契約できないという倫理的な被害だけではなく、部屋探しの度に入居の可否を確認する手間が消費者に発生するため、部屋探しの範囲を狭める可能性があります。その結果、不動産市場を縮小させる弊害が懸念されるとともに、LIFULL HOME'Sをはじめとする不動産情報サイトに対する信頼性の低下に繋がる恐れがあります。
このような背景のもと、「おとり物件撲滅」を掲げるLIFULL HOME'Sと、企業内の人事データやビジネスデータを活用した経済学実証研究を行う組織経済実証研究所は、LIFULL HOME'Sに蓄積されているデータを活用した共同研究を行う運びとなりました。
- 目的と期待する成果
本研究では、LIFULL HOME'Sに蓄積されたデータの詳細な分析によって、おとり物件を取り締まる施策の効果を検証し、インターネット広告における、おとり物件問題解決の手段を導くことを目的としています。
現状、LIFULL HOME'Sでの「おとり物件撲滅」を推進するために、複数の施策を稼働しており、おとり広告の可能性がある月5万物件を自動で非掲載処理する施策を行っているため、本研究では主な以下内容に活用できることを期待しています。
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1. データ抽出精度の向上
おとり物件の可能性がある物件を独自のロジックで複数抽出する際、データ抽出精度は80%~97%である事から数値向上のための検討と改善を行なうこと
2. AIにおける違反予測精度の向上
AIによる「おとり物件」の違反予測精度は72%~92%と、1と比較し幅が大きい事から、数値向上のための検討と改善を行なうこと
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この研究結果は広く公開し、研究内容とLIFULL HOME'Sの取り組みが、これからの不動産取引の透明性の推進に繋がるような仕組みづくりを進めていきます。
- コメント
早稲田大学総合研究機構
組織経済実証研究所 所長 大湾秀雄(おおわんひでお)
どのような市場構造や環境の中で、おとり物件が増えるのかを明らかにすることで、不動産事業者の遵法意識を高める制度設計を提案できるようになると考えます。
また、おとり物件を生み出すメカニズムを明らかにすることで、おとり物件の予測精度も高めらます。最終的には、おとり物件の社会的コストがどのくらいあるのか、これまでの国、業界、リーディングカンパニーの施策によってどの程度そのコストを削減できたかを可視化したいと思います。
同じ問題意識を持つLIFULL 様と、この共同研究を通じて、おとり物件を減らすことの重要性を明らかにできれば幸いです。
LIFULL HOME'S事業本部
情報審査グループ長 宮廻優子(みやさこゆうこ)
写真早稲田大学様との共同研究によって、LIFULL HOME'Sが掲げる「おとり物件撲滅」への取り組み精度を向上させる事に加え、取り組みそのものの有効性を定量的に測る事ができるようになることを期待しています。
また、不動産業界において長年の課題となっている「おとり物件」の発生や影響について理解を深め、学術的知見に基づいた解決策を共に導き出していきたいと考えています。
- 「LIFULL HOME'S」の物件情報精度向上の取り組みについて
日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」では、正確な情報の中から、安心して住まい選びができるよう、「情報精度No.1」を目標に掲げて、以下のような取り組みを推進しています。
1.情報掲載ルールの策定と啓発
「LIFULL HOME'S」への情報掲載について、各種法令ならびに弊社独自の規定を盛り込んだ「情報審査規約」を制定し、ルールを順守した正確な情報掲載を呼びかけています。
2.掲載情報110番
「LIFULL HOME'S」に掲載された情報について、「事実と違う」「成約済みの物件だった」等のお問い合わせを受け付ける専用の窓口を設け、個別に事実確認を行っています。
3.掲載物件の能動的調査
正しい物件情報が掲載されているか、能動的な調査を実施しており、万が一違反が確認された場合は、「LIFULL HOME'S」の利用を一定期間停止する等の措置を講じています。
4.優良店舗の認定
より安心で快適な住まい探しをしていただけるように、「LIFULL HOME'S」加盟店に対して独自調査を実施。一定の基準をクリアしている店舗を「優良店」に認定する制度です。現在は、「情報精度」と「安心のお客様対応」の2項目で、弊社が定めた基準をクリアした店舗を優良店舗として認定する制度を設けています。
5.業界団体での活動
首都圏不動産公正取引協議会 ポータルサイト広告適正化部会の加盟会社として、同業他社と連携しておとり広告排除の取り組み等を進めています。首都圏、近畿、東海、九州の不動産公正取引協議会にて「厳重警告・違約金」の措置が講じられた不動産事業者は、最低1ヶ月間「LIFULL HOME'S」を始めとする不動産情報サイトへの広告掲載を停止する施策が開始されています。
6.関連業種と連携した活動
株式会社楽天と情報連携し、おとり物件対策と不正注文防止のための取り組みを行っています。
7.不動産管理会社との情報連携によるおとり物件撲滅推進
情報精度向上の取り組みの一環として、2019年10月から、不動産仲介会社を経由せず、不動産管理会社の保有する物件情報と「LIFULL HOME'S」に掲載されている物件情報を照合の上で、募集終了物件を自動で非掲載にする取り組みを業界で初めて開始しました。2023年1月現在、取り組みに賛同いただいた会社の管理物件情報の総数は約150万戸となりました。
詳細:https://inquiry.homes.co.jp/js_renkei_voice/
- 早稲田大学総合研究機構 組織経済研究所について(URL:https://www.waseda.jp/inst/cro/institutes-list/institute-for-empirical-research-in-organizational-economics/)
現在企業の中に蓄積されているデータは、10年前と比べて大きく変わり、従業員や経営者の意思決定、コミュニケーション、人事評価記録などに加え、ビジネス取引記録も数多く眠っております。本研究所は、こうしたデータを活用して企業施策を評価することを目的に設立されました。事後的な分析にとどまらず、必要な施策を提案し、フィールド実験等を通じ、企業と共同して施策の効果計測機会を創出することを目指しています。
- LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
- 株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、主要サービスである不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」をはじめ、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。