金曜日, 11月 22, 2024
ホーム調査レポートLIXIL、事業活動におけるCO₂排出量実質ゼロに向けたイノベーションとして“水素燃料への転換”などを見据えた製造技術検証を始動

LIXIL、事業活動におけるCO₂排出量実質ゼロに向けたイノベーションとして“水素燃料への転換”などを見据えた製造技術検証を始動

世界初※1、水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理※2を実際の製造工程で実験し成功

株式会社LIXIL(以下 LIXIL)は、脱炭素社会の実現に向けた事業活動におけるイノベーションの取り組みのひとつとして、“水素燃料への転換”を見据えた製造技術検証を本格始動しています。
この度、世界初となる水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理を国内工場※3の実際の生産設備で東京ガス株式会社(以下、東京ガス)と共に検証し、成功しましたのでお知らせいたします。

LIXIL、事業活動におけるCO₂排出量実質ゼロに向けたイノベーションとして“水素燃料への転換”などを見据えた製造技術検証を始動のサブ画像1

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(写真)世界初となる水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理を実際の製造工程で実験している様子

■環境課題の解決に向けて、新技術を取り入れたイノベーションを推進

LIXILは、環境ビジョン「Zero Carbon and Circular Living(CO₂ゼロと循環型の暮らし)」(https://www.lixil.com/jp/sustainability/environment/pdf/environmental_vision_jp.pdfを掲げ、2050年までに事業活動と製品・サービスによるCO₂排出量を実質ゼロにすることを目指しています。自社の事業活動による環境負荷の最小化に向けて、工場やオフィスでの徹底した省エネ活動や、再生可能エネルギーの利用、物流や調達などサプライチェーンを通じた活動などによりCO₂排出削減に取り組んでいます。

LIXILの製造工程では、材料から製品を造る際の熱需要を満たすために多くの燃料を使用しています。重油やLPGなど従来の燃料を使用する際に排出されるCO₂(スコープ1)の削減に向けて、CO₂排出の少ない天然ガスなどの燃料への転換や電気への転換(電化)など、これまでも既存技術を基盤とした取り組みを継続してきました。しかしながら、2050年までの長期目標の達成に向けて、建材製品を製造する際のアルミ溶解工程や、衛生陶器やタイルなどを製造する際のセラミック焼成工程で使用する高温域(1000℃以上)の炉で発生するCO₂を削減するには、従来の燃料や製造方法での取り組みを超えたイノベーションが必要です。

そこでLIXILは、水素への燃料転換やCCU(Carbon dioxide capture and utilisation:工場等から排出されたCO₂を分離・回収し有効活用すること)などの実証可能な新技術を取り入れたイノベーションや、研究段階にある新技術の応用も視野に入れ、2030年以降の実用化を目指した検討を開始しています。

■水素への燃料転換を見据えた検証を実施

LIXILは、これまで水素への燃料転換が製造プロセスにおいてどのような影響を与えるかの検証を継続的に行ってきました。アルミ溶解、セラミック焼成の高温炉の検証は、東京ガスと共に水素燃焼試験を行い、天然ガスと同様に問題なく水素が使用可能であることを確認しています。

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LIXIL、事業活動におけるCO₂排出量実質ゼロに向けたイノベーションとして“水素燃料への転換”などを見据えた製造技術検証を始動のサブ画像4

(写真)東京ガス試験場でのセラミック焼成における水素燃焼試験の様子

一方で、アルミ形材の製造工程においては、アルミ溶解以外でも水素への燃料転換を展開すること、また将来的には既存の工場設備で水素を取り扱うことを視野に入れた検証を継続しています。2022年12月7日には、品質影響が懸念される低温炉のアルミエージング処理工程において東京ガスと共に実証実験を行いました。この実験には、試験炉ではなくLIXILの生産工場で実際に使用している設備を用い、水素燃焼による製品品質への影響がないことが確認されました。

このように製造プロセスにおける検証を重ね、水素への燃料転換が将来的な脱炭素に向けた取り組みの選択肢のひとつになり得ることが示されました。今後もさまざまなパートナーやステークホルダーと連携し、これまでのものづくりを変革するイノベーションの創出を加速することで、 脱炭素製造技術の実用化に向けた検証を進めていきます。

■水素の供給に関連した技術開発

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水素は、燃料としての供給インフラ整備に大きな課題がありますが、LIXILでは調達から使用までの一連のプロセスにおける技術確立を目指し、水素調達に関連した技術検証にも着手しています。
その取り組みの一つとして、アルミ形材の製造工程内で発生する副生水素を回収・利用する技術開発に取り組んでいます。アルミ形材を製造する小矢部工場のアルマイト処理※4工程で、2022年8月に東京ガスと協働で実施した検証試験では、発生する水素を90%以上の効率で回収することに成功しました。回収した水素の利活用も含めて検証を引き続き進めていきます。

LIXIL 常務役員 Chief Technology Officer 環境戦略委員会委員長 迎宇宙のコメント


「LIXILでは、環境ビジョン「Zero Carbon and Circular Living(CO₂ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、製造プロセスにおいても水素をはじめとした燃料の転換や、新技術を取り入れた製造イノベーションなど、脱炭素社会に貢献する取り組みを推進してきました。この度、水素燃焼によるカーボンフリーな製造技術の確立に向けてアルミ形材の品質検証を実施し、品質を維持すると同時にCO2排出量を削減することに成功しました。世界的に革新的な技術の実用化に向け、環境課題の解決に向けたイノベーションの推進を加速させ、LIXILのパーパス(存在意義)である『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』に貢献していきます」

 
※1 2022年10月時点 NetBase Quid調べ、アルミ建材分野における水素を使った実炉での実証に関して
※2 出来上がったアルミ形材を炉に入れて熱処理することで、強度を高めること
※3 前橋工場
※4 アルミ形材の表面を電気分解することによって、アルミ表面を酸化させ皮膜を生成させ、耐食性、耐摩耗性、耐候性を高める処理方法

About LIXIL

LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2022年3月期に1兆4,286億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/
LIXIL Facebook(グローバル向け):https://ja-jp.facebook.com/lixilglobal/
LIXIL Facebook(日本国内向け):https://www.facebook.com/lixilcorporation

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