国内初!CLT建材による賃貸住宅の規格化・工業化に成功
大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小林克満)は、当社独自のCLT工法を採用した、国内初の規格化・工業化されたCLT賃貸集合住宅を2019年に開発し、本年7月28日、その第1号棟が千葉県船橋市に完成しましたのでお知らせします。
CLT※1は、コンクリート並みの強度と、木材の軽さを併せ持つ木質建材として注目を集めていますが、実用化には、耐熱性や施工性、事業性、工期の面など課題も多く、各企業・団体が課題解決に向けた取り組みを進めています。本建物は、パネル化が可能な耐火外壁や、ドリフトピン仕様の内蔵型接合部金物など、施工現場での作業省力化や施工品質の均一化に配慮した当社独自のCLT工法を用いて建築されました。引き続き、室内の温熱環境、遮音性能、電気使用量など、各種データの計測による検証を進めていきます。
当社は今後も、規格化・工業化されたCLT住宅の普及に取り組むことで、国内のCLT建材の活用を促進するとともに、土地活用における賃貸住宅の可能性をさらに拡げていきます。
※1 Cross Laminated Timber(直交集成板)。ひき板を並べた後、繊維方向が直交(クロス)するように積層接着した木質系材料
- 完成した建物で住環境データを計測・取得
今回完成した1号棟では、壁面、床上1m、0.1mの3カ所の温度、湿度の計測を行うほか、部屋の内部に断熱資材を付与し、断熱仕様の違いによる居室間温度差のデータを収集するなど、年間の季節変化による室内の温熱環境を検証します。取得したデータは、居室間温度差や室内上下間の温度差を抑えた健康住宅(スマートウェルネス住宅)の開発に活用する予定です。[断熱仕様の違いによる室間温度差の計測] 断熱仕様の違いによる室間温度差の計測
そのほか、遮音性能や電気使用量など、賃貸住宅におけるさまざまな住環境データの計測により、今後のより良いCLT賃貸集合住宅の開発に活かしていきます。
- CLT建物での実体験を通して、CLT活用促進へ貢献
完成同日、CLT賃貸集合住宅の性能を体感いただくメディア向け現場見学会を開催しました。見学会では、ルームエアコン停止後のCLT材・RC材の表面温度変化や室内温度の違い、当社独自の高遮音床を通した階上の生活音の聞こえ方などの実演を行い、参加者からは、室温や上階の足音の聞こえ方など、生活者視点での様々な意見が寄せられました。
当社は今後も、CLT建物を実際に見て、体感できる場を創出し、国内でのCLT普及に貢献するとともに、より良いCLT商品の開発を目指します。
- CLT工法と建物の特長
1.4階建てを可能にする内蔵型接合部金物
当社オリジナル金物は、ピンを差し込むドリフトピン仕様で、一般的なCLTエ法に用いられるビス留め仕様と比べ、現場での作業時間を大幅に短縮し、施工品質の均一化を実現しています。
2.パネル化が可能な耐火外壁で施工を省略化
当社オリジナルの耐火外壁は、提携倉庫にてCLT外側に耐火被覆材を張り重ね、パネルの端同士をきっちりと接合させる突付張りとすることで、施工現場での耐火被覆材の施工を省略することができます。
3.CLTの炭素貯蔵効果
本建物の躯体には、CLT材、集成材、合板など、合わせて85㎥の国産材を使用しており、輸入木材を含めると木材使用量は124㎥となります。これらの木材は、成長過程でCO2を吸着しているため、建物の躯体として使用することにより、建物にCO2を閉じ込める「炭素貯蔵効果」として84(t-CO2)の効果があります。この数字は、一般家庭28世帯分の年間CO2排出量に該当します。
※2 環境省 令和2年度家庭部門のCO2排出実態統計調査の結果から引用
- 建物概要
所在地:千葉県船橋市
構造:オリジナルCLT工法
規模:4階建て1棟7戸(2階はオーナー様邸)
住戸間取り:1K、1LDK
敷地:124.25㎡
延床面積 :299.12㎡
<関連ニュースリリース>
大東建託、CLT造建物におけるRC造同等以上の快適性を確認(2020年6月3日)
https://www.kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2020/clt_kaitekisei_0603.html