自死のあった物件を寺院として再活用。特殊清掃の現場から生まれた「供養の受け皿」

特殊清掃・遺品整理を手がける「関西クリーンサービス」(運営:A-LIFE株式会社、本社:奈良県奈良市、代表取締役:亀澤範行)は、奈良市内の事故物件をフルリノベーションし、2026年3月、真言宗の寺院「翠緑山 禅祥院(すいりょくざん ぜんしょういん)」を建立しました。

本寺院は、2023年に自死があった空き家(築35年・延床面積約280㎡)を再生したものです。特殊清掃や遺品整理の現場で触れてきた、故人や遺族の行き場のない想い。そして事故物件の抱える空き家リスク。その両方に寄り添うひとつの答えとして、物件を「地域に開かれた祈りの場」へと生まれ変わらせました。
なぜ、事故物件を「寺院」にしたのか
本プロジェクトは、A-LIFE株式会社 代表であり、真言宗の僧侶でもある亀澤範行(僧名:亀澤隆昭)の発案によるものです。

禅祥院のもととなった建物は、再利用が難しい事故物件でした。
2023年に当時の所有者が建物内で自死。ご遺族からご依頼を受けた関西クリーンサービスが特殊清掃と物件買取を行いました。
買取後、本物件をどのように扱うべきか、慎重に検討を重ねました。
一般的には、解体して更地にする選択もあります。しかし本件では、建物の構造上の理由から解体に多額の費用がかかること、さらに更地にした場合でも告知義務が発生する可能性がありました。

「解体して終わり」にするだけでは、この場所が抱える課題の本質的な解決にはならない。そう考えた私たちは、この物件に新たな役割を持たせる、再生への道を模索してきました。
どのような形で再生すべきなのか。
その答えは、これまで関西クリーンサービスが向き合ってきた現場の中にありました。
特殊清掃や遺品整理の現場で目にするのは、行き場を失った故人の想いや、ご遺族の拭いきれない悲しみです。故人の遺品や仏壇が供養されないまま残されていることも少なくありません。
ご遺族が「どこかで手を合わせたい」「供養できる場所がほしい」と話される姿も、何度も見てきました。

遺品を片付け、空間を元に戻すだけでは救えない「心の領域」がある。故人を想って祈り、遺された人々が気持ちに区切りをつけられる場所が、今、社会に必要なのではないか。
そうした経験が、本物件を真言宗寺院「翠緑山 禅祥院」として再生する決断につながったのです。
檀家制度に頼らない、開かれた供養の場

禅祥院は真言宗の寺院ですが、檀家加入を必須としていません。
供養の依頼は単発でも可能とし、宗派や背景を問わず、供養の場を必要とする方が利用できる「開かれた寺院」を目指します。
遺品整理や特殊清掃の現場では、「供養をお願いできる場所が分からない」「遠方でお墓参りに行けない」「費用面の不安から供養に踏み出せない」といった声が少なくありません。
また現代社会では、身寄りがなく引き取り手のない遺骨・遺品の行き場が課題となっています。禅祥院は、そうした社会の中で行き場を失いがちな供養の受け皿となることを目的としています。

供養の内容としては、遺品供養、合同供養、無縁仏供養などを想定。仏壇や位牌、写真、人形など、故人やご遺族の想いが込められた品を、僧侶が読経のもと丁寧に供養します。
内容や費用については、利用される方に安心していただけるよう、明確に公開していく方針です。
檀家制度や条件に縛られることなく、誰もが安心して故人を偲べる場所として、地域に開かれた運営を行っていきます。
空き家・事故物件に新たな価値を与える試み
禅祥院のある奈良市の空き家率は、約17%と全国平均(13.8%)を上回っています(※総務省の住宅・土地統計調査)。空き家や事故物件は、解体や放置といった選択に偏りがちです。活用の糸口が見つからないまま、地域の中で負の不動産として残り続けるケースも少なくありません。
本取り組みは、そうした物件に「供養の場」という社会的機能を持たせることで、新たな価値を見出す試みです。
関西クリーンサービスではこれまで、数多くの事故物件再生と、空き家リスクの解決に取り組んできました。今後も、資産価値だけでは測れない「社会に必要とされる場」としての再生モデルの確立を目指していきます。
代表コメント(亀澤範行/僧名:亀澤隆昭)
今回、事故物件という負のイメージを持たれがちな場所を、寺院として再生することが社会にどう受け止められるのか、葛藤がありました。 しかし、特殊清掃や遺品整理に20年以上携わるなかで、供養や心の区切りを求めるご遺族の姿を数多く見てきたことも事実です。
特殊清掃員として、そして僧侶として、何かできることがあるのではないか。そう感じたことが、今回の取り組みにつながりました。
同時に不動産業者として、空き家や事故物件が活用されないまま地域に残り続けている現状も、大きな課題だと感じています。
本事例は、単に建物を再生するだけでなく、地域や社会に必要とされる機能を持つ拠点へと転換し、不動産の価値を再定義する試みでもあります。
事故物件や空き家が「なくてはならない場所」として地域に根付き、「社会的価値のある物件」へと育つよう、今後も継続的な運営と仕組みづくりに取り組んでいきます。
地域課題の解決と資産価値の再生を両立し得る、民間による空き家活用の一例として、注目していただければと思います。
関西クリーンサービスについて

関西クリーンサービスは、特殊清掃・遺品整理・ゴミ屋敷清掃を中心に事業を展開しています。これまで多くの現場に向き合う中で、孤独死や空き家問題など社会課題への理解を深めてきました。
現場で得た知見をもとに、事故物件の再生や地域に還元する取り組みを行っています。


A-LIFE株式会社
サービス名称:関西クリーンサービス(https://www.k-clean.jp/)
所在地:大阪市東成区深江北3-16-39
配信企業名:A-LIFE株式会社(https://alife-grp.com/)
本社所在地:奈良市西大寺赤田町1-4-6A-LIFEビル
代表取締役:亀澤 範行
事業内容:遺品整理、事件・事故現場の特殊清掃、産業廃棄物収集運搬業、リサイクル関連事業全般 等
設立日: 2006年12月
資本金:3000万円