不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」が公開
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLのグループ会社であり、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(以下、健美家)」および「LIFULL HOME’S 不動産投資」を運営する健美家株式会社(代表取締役社長:成瀬 亮輔)は、2025年に実施した様々なレポートや調査結果をもとに2026年の不動産投資のトレンド予測を公開しました。

■ トピックス
2025年は、金利上昇や物件価格の高騰など、不動産投資市場にとって大きな転換点となる一年でした。健美家が実施した複数の意識調査や市場データを分析すると、投資家の行動や意識が、市況の変化に合わせて着実にアップデートされている様子がうかがえます。
これからの不動産投資はどうなのか、「5つのトレンド」として2026年を予測してみました。
トレンド1: 戸建賃貸が投資の太い柱へ
トレンド2: 「インカム」より「キャピタル」重視
トレンド3: 「賃上げ」トレンドの継続
トレンド4:AIを「戦略参謀」にする大家の増加
トレンド5: プレイヤーの「新陳代謝」と参入の好機
◼️トレンド1:戸建賃貸が投資の太い柱へ
金融機関の融資姿勢の厳格化と物件価格の高騰を受け、投資対象をダウンサイジングする動きが加速しています。これまで不動産投資の王道とされてきた「一棟アパート」から、現金や少額融資で購入可能な「戸建賃貸」へと資金の流れが変化しています。

『不動産投資に関する意識調査(第24回)』(2025年10月、以下『意識調査』)によると、2024年10月以降に投資家が実際に購入した物件種別では、「戸建賃貸」が43.4%に達し、2025年4月時点の36.0%から7.4ポイント急増しました。これは「一棟アパート(48.4%)」に迫る水準であり、戸建投資が主力の一角を占めるようになったことを示しています。[図1]
この動きは、市場の「熱量」を示すデータからも明確に読み取れます。健美家の戸建物件の登録数・問い合わせ数を2024年・2025年 1-11月比較でみると、登録物件数は約24.6%増加し、市場規模は拡大しています。しかし特筆すべきは、その供給増を上回るペースで問い合わせが増加している点です。
登録数に対する反響数の割合を示す「反響率」は、前年比で約4.0%上昇しました。物件数が増えても1物件あたりの注目度は下がらず、むしろ「以前よりも高い確率で投資家からアクションが起きている」という事実は、戸建への需要の底堅さを物語っています。
また、『金利上昇・物件価格高騰局面における不動産投資戦略に関する意識調査』(2025年10月、以下『戦略に関する意識調査』)で属性別の戦略変化を見ると、年収500万円未満の層では「一棟ものから、融資が不要な(または少額の)戸建・区分にシフトした」との回答が13.7%に上っています。これは全体平均(7.4%)の約2倍にあたり、資金力や融資枠に限りがある層が特に、現実的な選択肢として戸建へシフトしている様子がうかがえます。[図2]

実際の購入率が増加に加え、反響率の上昇を伴う市場拡大は戸建投資が一過性の流行(ブーム)を終え、事業として収益を上げるための「堅実な投資手法(スタンダード)」として定着したことを示唆しています。
2026年は、金利上昇リスクを抑えながら少額で始められる「戸建賃貸」が、ニッチな手法から脱却し、不動産投資の新たな「太い柱」として堅実な地位を確立する一年になるでしょう。
◼️トレンド2:「インカム」より「キャピタル」重視
「高利回り」であることよりも、インフレヘッジとしての「資産価値(値崩れしにくさ)」を優先する動きが見られます。

『収益物件 市場動向マンスリーレポート』(2025年11月期)によると、全種別(投資用区分マンション・一棟アパート・一棟マンション)で直近12年の最高値を更新しました。中でも、区分マンションの価格は前月比+10.57%と急騰しています。利回り面で見ると、一棟系(アパート・マンション)は価格上昇に伴い低下傾向にある一方、区分マンションは6%台後半で横ばいを維持していますが、いずれにせよ過去と比較して低水準であることに変わりはありません。[図3]
通常、これだけの価格高騰で利回りが低下すれば敬遠されますが、それでも取引が成立している背景には、目先の利回り(インカム)よりも、資産価値の維持・上昇(キャピタル)を重視する投資家の姿勢の変化がうかがえます。
実際、『戦略に関する意識調査』において、年収3,000万円以上の高所得層では、「都心部の資産価値重視(インカムよりキャピタル狙い)にシフトした」との回答が23.6%と突出して高く、インフレ時代ならではの資産防衛色が色濃く出ています。[図4]一方で、より幅広い層を対象とした『意識調査』をみても、投資用不動産が買い時と判断する理由として「価格がもっと上がるから(50.7%)」という先高観が上位を占めており、更なる価格上昇を見越した“駆け込み需要”が市場を支えていることがわかります。[図5]


また、この「資産性重視」の傾向は、投資家の自宅調査からも見て取れます。
『投資家の自宅に関する不動産投資家アンケート』(2025年6月)によると、投資家の「現在の自宅」に関する調査において、自宅に対して「投資目線で考えている(完全に+ある程度)」と回答した割合は過半数(50.9%)に達しました。中でも自宅が「所有(マンション)」である層では70.4%と突出して高く、資産価値の維持・上昇が期待しやすい都心マンションにおいては、自宅であっても「いざとなれば貸せる・売れる」というリセールバリューをシビアに見極める姿勢が定着していると言えそうです。[図6]

2026年も、都心・好立地の物件については、「利回り」を追求する投資対象としてではなく、「資産の保全」を目的としたマネーの受け皿として選ばれ続けると予測されます。
◼️トレンド3:「賃上げ」トレンドの継続
2025年に不動産投資界隈で大きな話題となった、コスト増を家賃に転嫁する「賃上げ」の動き。2026年もその流れは止まることはなさそうです。 賃貸借契約の多くは2年ごとの更新であるため、2025年に改定のタイミングが来なかった物件の更新が2026年に控えており、家賃改定の動きは継続していくと見られます。

『戦略に関する意識調査』よると、金利上昇やコスト高騰を受けた投資戦略の変化として、「所有物件の賃料を上げた」と回答した投資家は全体の24.3%に達しました。[図7]
これまで日本の賃貸市場では「家賃は経年とともに下がるもの」という認識が一般的でしたが、その前提が崩れつつあります。背景にあるのは、「市況全体の価格高騰」です。
『収益物件 市場動向四半期レポート』(2025年7〜9月期)によると、全国の区分マンション(築20年以上)の平均価格は、この3年間で約1.6倍(1,151万円→1,869万円)にまで上昇しました。新築・築浅だけでなく、築古物件にまで価格上昇が波及している今、従来の「築年数が経てば家賃を下げる」という図式では、購入価格に見合う収益を確保することが難しくなっているのです。[図8]


加えて、運営コストの上昇も切実です。『戦略に関する意識調査』による投資家の懸念事項トップ3は「金利の上昇(54.9%)」、「建築費・資材費の高騰(50.0%)」、「利回りの低下(49.7%)」が占めています。高騰した物件価格と修繕費や管理コスト、返済額が上昇する中で、従来の家賃設定のままではキャッシュフローが圧迫され、健全な賃貸経営の維持が難しくなっている現状があります。[図9]
2026年は、インフレを背景とした「賃上げ」や「賃料維持」が、事業継続のための現実的な選択肢として実行される一年になるでしょう。
◼️トレンド4:AIを「戦略参謀」にする大家の増加
生成AIの登場以降、不動産投資の現場でもその活用が進んでいます。
健美家が実施した『AIツールの利用に関する不動産投資家アンケート』(2025年8月)によると、不動産投資家の42.0%がすでにAIツールを利用しており[図10]、その利用目的の第1位は「戦略を考える時の相談(58.5%)」でした。これは「メール・文章作成(47.2%)」や「物件のシミュレーション(39.6%)」を上回る数字です。「客付けのアイデア出し」や「リフォームプランの相談」、「融資戦略の壁打ち相手」としてAIを活用する動きが広がっており、投資家がAIに対し、客観的な意見や多角的な視点を提供してくれるパートナーとしての価値を見出していることがわかります。[図11]


また、本アンケートでは、現在AIを利用していない58%の投資家からも「物件購入時のシミュレーション(利回り・キャッシュフロー計算)(58.6%)」、「情報収集(税制・ニュースなど)(44.3%)」、「戦略を考える時の相談(41.4%)」といった活用意向が寄せられており、潜在的な関心の高さがうかがえます。こうした層が実際の利用へと移行することで、利用率は今後さらに増加していくと考えられます。[図12]

この背景には、不動産投資という事業の特異性がありそうです。不動産は一つとして同じものがない「個別性」が極めて高く、判断には建築・税務・法務・金融・エリア動向など、多岐にわたる最新情報のキャッチアップが求められます。これら膨大な情報を網羅し、相対的に比較・判断することは容易ではありません。 膨大なデータを瞬時に整理し、多角的な視点での分析を行えるAIは、不動産投資家にとって相性の良い「壁打ち相手(セカンドブレイン)」となっているのかもしれません。
AI技術そのものも日々進化を続けている中で、2026年はより高度な推論や専門的な提案が可能になると予測されます。複雑なパズルを解くような不動産投資の世界において、AIは投資家の思考を拡張し、より精度の高い意思決定へと導くパートナーとして定着していくでしょう。
◼️トレンド5:プレイヤーの「新陳代謝」と参入の好機
2026年の不動産投資市場は、厳しいと言われる一方で、プレイヤーの新陳代謝(入れ替わり)が進むことによる「新たな参入チャンス」が生まれそうです。
ここ数年の市況変化を受け、既存の投資家の動きに変化が出ています。『戦略に関する意識調査』によると、現在の投資戦略として「購入自体を一時中断し、様子見している(13.7%)」、「不動産賃貸業を縮小した(5.4%)」といった、市場から一歩引く姿勢を見せる層が一定数存在します。また、「所有物件を売却した(する予定)」という回答も18.0%に達しており、利益確定などのために物件を手放す動きも活発です。[図7]
これらを合わせると、市場に参加しているプレイヤーの約2~3割が、一時的な静観や物件の放出に動いていることがわかります。
既存のプレイヤーが足踏みや出口戦略をとるこのタイミングは、これから不動産投資を始めたい人や、新たな戦略で挑みたい人にとっては、参入の隙間が生まれる局面とも言えます。 2026年は、退場する人と新規参入する人の「入れ替わり」が起こり、今の市況に合わせた柔軟な発想を持つ新しいプレイヤーが、資産形成の第一歩を踏み出すきっかけの年になるかもしれません。
■ 健美家 広報室コメント
2025年に健美家が実施した様々な調査結果からは、金利上昇や物件価格高騰といった市況の変化に対し、投資家の皆様が冷静に、かつ柔軟に戦略を修正している姿が浮き彫りになりました。
投資対象を「戸建賃貸」へ広げる動きや、収益性を守るための「賃上げ」、さらに「AI」という新しい技術の活用など、既存のやり方に固執せず、新しい解を模索する姿勢こそが、2026年を生き抜く鍵になりそうです。
環境は変化し続けますが、それに合わせて「打ち手」を変えれば、チャンスは依然として存在します。
健美家では今後も、皆様の判断材料となる正確なデータと情報を発信してまいります。
■ 『 不動産投資に関する意識調査( 第24回 ) 』 調査要綱
※調査データを引用する際は「不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 」と明記をお願いします
※グラフは小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります
■ 健美家株式会社について
健美家株式会社は、収益物件の紹介、著名な不動産投資家によるコラム、不動産投資ニュース、セミナー情報等、「不動産投資に関わる人に価値ある情報を提供し、正しい判断ができるプラットフォーム」を提供している不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」および「LIFULL HOME’S 不動産投資」を運営しています。
LIFULL HOME’S 不動産投資 https://toushi.homes.co.jp/

【会社概要】
会社名:健美家株式会社
所在地:東京都千代田区麹町1-4-4
代表取締役社長:成瀬 亮輔
設立:2004年 4月
■ 株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」などの事業展開を行っています。