髙松建設株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:髙松孝年、以下当社)が設計・施工を手掛けた賃貸マンション「THE AKASAKA RESIDENCE S.O.A.」が、このたび2025年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。本件は赤坂で長年老舗料亭を営まれてきた株式会社つる中と当社の共同受賞となります。



【THE AKASAKA RESIDENCE S.O.A.】
受賞部門:建築(中~大規模集合住宅)
受賞者:株式会社つる中/髙松建設株式会社
設計:髙松建設株式会社
施工:髙松建設株式会社
【評価ポイント】 ※審査員による評価コメント原文
構造計画と響き合った建築のデザインとして高く評価された。居住空間をラーメン構造の内側に確保し、その外側は都市とのバッファー空間として、跳ね出しスラブ上に軽やかに展開させている。その結果、壁とガラスで構成されたファサードが形づくられた。スラブの厚みしか見えてこないこの軽やかなファサードは2〜3層ごとに小気味よく切り替えられ、基壇からせり出すように見せている。
【デザインのポイント】
・料亭街の都市スケールと大和比で構成したRC壁面、格子、低く深い軒等、まちの記憶を繋ぐ外観デザイン
・”路地性・結界性・もてなしの空気・静謐(せいひつ)”の料亭建築固有の空間哲学を再構築した、豊かな都市型集合住宅
・既存建物の部材を組み込み文化資産を日常に織り込んだ、住まうことそのものが街の歴史文化の体験となる空間
【物件コンセプト】
~都市に文化を紡ぐ建築~
本計画は、赤坂花街の歴史を紐解き、老舗料亭「つる中」が担ってきた文化的価値を現代の都市型集合住宅へと継承する試みです。かつての料亭街のスケール感や様式を建築に落とし込み、大和比※を用いたファサードや分節された外観が、地域景観に新たな風格をもたらします。
内部空間は、静かで快適な住まいを実現しつつ、動線設計や共用部の設えに“もてなし”の精神を宿しています。低く深い庇、坪庭や古美術などが情緒を醸し出し、住まうことで豊かさがじんわりと感じられる空間を創出。さらに、既存建物の部材再利用によって、街の記憶を物理的にも継承する都市再生への挑戦も行っています。
歴史と未来を結び、凛とした品位を持つ新たな都市住宅の原型を目指しました。
※大和比:約1:1.414(約1:√2)の比率を持つ白銀比の別名。伝統的な建築や芸術に多く用いられる。
1.まちの記憶を繋ぐ
2~3層の料亭街の都市スケールをモジュールとし、大和比による壁面構成と開口部・木格子・金属庇で外観をデザインしました。都心の高密度な環境において「開きつつ、穏やかに応答する」ファサードは、プライバシーを確保しながら外部から光を取り込み、まちとの良質な関係を築いています。


2.空間哲学の再構築
「もてなしの空気」「路地の奥行き」「結界の概念」「静謐」などの料亭固有の空間哲学を、集合住宅へ織り込みました。深い庇や車寄せ、通り土間やテラスがまちと住まいを繋ぐ余白となるよう設計しました。光や風を取り込み、静かで快適な暮らしを実現します。


3.継承し、次世代へ
“つる中”の記憶を、建築の部材に託して再構成しました。既存建物の木建具や石灯篭、古美術を空間に”格”を生む要素として採用しました。文化資産を日常生活の中へ織り込むことで、「住まうこと」そのものが歴史文化の体験となるように。赤坂というまちの歴史と未来を繋ぎ、新たな都市型集合住宅の原型となることを目指しました。


【物件概要】
|
名称 |
THE AKASAKA RESIDENCE S.O.A. |
|
所在地 |
東京都港区赤坂 |
|
戸数 |
15戸 |
|
構造・規模 |
鉄筋コンクリート造10階建 |
|
敷地面積 |
278.49m2 |
|
延床面積 |
1,480.05m2 |
|
用途 |
共同住宅・店舗 |
【グッドデザイン賞とは】
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
グッドデザイン賞公式HP:https://www.g-mark.org/
受賞ギャラリーURL:https://www.g-mark.org/gallery/winners/31140
