「2022年度の電力需給対策について」(2022年5月17日、資源エネルギー庁発表)によると、2022年夏季の電力需給は、非常に厳しい見通しとのことです。そこで、一級建築士兼宅地建物取引士として、不動産・土地の選び方などについて様々なノウハウを伝えている印南 和行が代表を務める株式会社南勝は、6月1日~9月30日の「夏の省エネキャンペーン」に合わせて、一戸建てに居住中の25歳以上45歳未満の男女全国1,254人を対象に「家の電気代」について調査を行いました。
- 調査概要
調査期間:2022年6月2日
調査手法:インターネット調査
調査対象:築1年以上10年未満の一戸建てに居住中の25歳以上45歳未満の男女全国
サンプル数:1,254人
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、「YouTube不動産 調べ」とご明記ください。
- 調査結果
「ここ半年くらい、以前より電気代が高くなったと思うことはあるか」尋ねたところ、「とても思う」(33.7%)、「なんとなく思う」(36.8%)、「あまり思わない」(18.6%)、「まったく思わない」(3.7%)、「わからない」(7.1%)となり、高くなったと思っている人が7割を超えることがわかりました。
続いて、「とても思う」「なんとなく思う」と回答した人に、「電気代が高くなった理由で当てはまることは何か」を尋ねました。理由は「わからない」(20.7%)が最多で、以下「リビング階段がある」(19.8%)、「単なる無駄遣い」(16.3%)、「大きな窓がある」(14.1%)、「吹き抜けがある」(12.0%)となりました。
今度は、「あまり思わない」「まったく思わない」と回答した人に、「電気代が高くならない理由で当てはまることは何か」を尋ねたところ、「窓ガラスが二重または二重サッシ」(27.9%)、「高断熱高気密の家に住んでいる」(26.8%)、「まめに節電している」(24.6%)、「家に吹き抜けやリビング階段がない」(21.8%)など回答が目立ちました。
これらのことから、家の機能性によって、消費電力の違いあることが明確になりました。
- 建築や不動産、土地のプロ・印南 和行(いんなみ かずゆき)が解説!
ここ数ヶ月、電気代の明細を見る度に「あれ、何に電気使った?」と驚くほど電気代が高くなっていませんか?高騰の原因は、原油と天然ガスの価格の高騰に伴って、電気料金も調整される「燃料調整制度」が導入されているからです。
このような情勢に大きな影響を受けるのが、電気代がかかり過ぎる家です。長く続くコロナの影響やロシアとウクライナを巡る問題、2022年3月の福島沖地震で火力発電所が停止したこともあり、今後も料金の上昇が続くかもしれません。もし、これから家を建てるのならば、できる限り電気代などの光熱費がかからない家にしたいですね。
そこで、今回は電気代のかかり過ぎる家の夏の特徴と改善点について説明いたします。(※)
※今回の解説で想定している家は、私が今まで見てきた一般的な木造二階建てです。高断熱高気密の住宅や設計上の様々な工夫をすることで、冷暖房効率を上げて、電気代を押さえることができるケースもあります。そのため、この解説がすべての住宅に対して当てはまるわけではない点を予めご了承ください。
1.吹き抜け
LDKが吹き抜けになっていると、エアコンは2階の分まで効果を発揮することになるので、冷暖房効率が悪くなりがちです。吹き抜けやリビング階段がある住宅では電気代が高くなることを想定していると思いますが、想像以上に高かったと後悔しているご家庭もあります。特に夏は、天窓や吹き抜けにある高所の窓からの太陽光を、カーテンやロールスクリーンなどを設置することで遮るようにしておくなどの工夫をしておくと良いかもしれません。何よりも電気代を気にせず暮らせる、太陽光発電+全館空調が良いことはわかっていますが、初期費用がかなり高額になるので、簡単に導入できるものではありません。吹き抜けで電気代を安価に抑える方法は、設計の段階からしっかり考えましょう。
2.仕切りがない
吹き抜けではなくても、広いスペースに仕切りのない間取りは、電気代が高くなりがちです。リビングと一体化した和室や土間と続いているリビングなど、開放感を大切にして考えられた空間は、やはり電気代が気になります。日本の住宅は基本的に「広い=部屋数を多くする」という考え方ですが、近年、なるべく仕切りをなくした「令和式0(ゼロ)LDKハウス」という住宅も増えています。0LDKは、壁やドアなどの材料費を抑えることができるので、費用の削減になるというメリットの他、レイアウトを自由に変更できる、家具の配置の自由度も高いなど、楽しい暮らしをイメージできます。しかし、その分電気代が高くなることは覚悟しなければならないでしょう。住宅全体に風を通すことができるので、夏は強い日差しを遮ってしまえば暑さは軽減できるかもしれません。一方、冬は寒いという声があります。
また、他の部屋との仕切りがしっかりされてあるものなら良いのですが、仕切り自体がなかったり、欄間などで和室の戸の上部が開いていたりすると、せっかく冷えた空気がそちらに流れ暑く感じてしまうので、住宅に広く開放的な空間を作る場合は、見た目の良さやオシャレ度を重視するだけでなく、断熱気密などを検討し、冷房効率が良くなる工夫も大切です。
3.窓が多い
窓が多い、大きいという間取りは電気代が高くなる場合があります。それは、家の中で熱の出入りが一番多いのが窓だからです。窓は外気温の影響を一番受けやすいです。冬はなかなか暖まらなく、夏は冷えないのは、窓の断熱性が低いことが原因かもしれません。日本の住宅で多く採用されている「アルミサッシ+単板ガラス(1枚ガラス)」窓は、断熱性がかなり低いと考えて良いでしょう。断熱性を高めるためには、遮熱と断熱のどちらにも効果を発揮するLow-E複層ガラスなどがオススメです。これは、夏は強い日差しによる室温の上昇を防ぎ、冬は温めた室内の熱を逃しません。また、アルミサッシは熱が逃げやすいので、樹脂を使用したものにすると効果は絶大です。樹脂の熱伝導率は、なんとアルミの約1/1,000~1/1,400とされています。大開口の掃き出し窓や寝室などに特にオススメします。
4.家電製品が古い
家電製品はどんどん省エネ化が進んでいるので、最新家電ほど消費電力が少なくなる傾向があります。電気代が高い家電と言えば、エアコンです。サイズにもよりますが、10年前のものと比較すると電気代が安くなっているものもあります。冷蔵庫も、15年前のものと比較すると現在は電気代が半分になっているものもあります。
今後も電気代の高騰は続くかもしれません。新電力会社を選ぶことで安くなる場合もありますが、プランの選び方を間違えると余計に高くなることもあるので、慎重に検討してください。
- 印南 和行(いんなみ かずゆき)プロフィール
一級建築士。宅地建物取引士。
株式会社南勝 代表取締役。
全国不動産売却安心取引協会理事長でもあり、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格など多くの建築・不動産関連の資格を保有している。
2014年には、週刊住宅新聞社から『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』を発売し、翌年の「日本図書館協会選定図書」に選ばれる。
また、2020年に一級建築士ユーチューバーとして「住宅専門チャンネル YouTube不動産」を開設し、建築や不動産、土地などについて様々なノウハウを伝えている。
公式サイト:https://innami.info/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCu5pac3VmabJ-OvFiPxlzIA
- 会社概要
商号:株式会社南勝(なんしょう)
所在地:大阪府大阪市淀川区西中島5-11-9 新大阪中里ビル
代表者:代表取締役 印南 和行(いんなみ かずゆき)
設立:2011年
事業内容:不動産業務支援他
電話番号:0800-600-0707(通話料無料)
連絡先:info@nansho-group.co.jp
URL:https://www.nansho.jp/