木曜日, 12月 19, 2024
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【脱炭素社会の実現】国産木材、賃貸住宅への導入で活用を拡大

日本の林業を守り、脱炭素社会の実現に貢献

大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:小林克満)は、国内住宅メーカーとしていち早く国産の木材に着目し、当社が建築する賃貸建物への導入により活用を推進・拡大してきました。
昨今、脱炭素社会の実現に向けて、国内では国産材の活用が促進されています。また、昨年から北米産の木材価格が高騰するウッドショックの影響で、国内では輸入材の調達が困難になったこともあり、国産材の活用はさらに注目を集めています。10月8日の「木材利用促進の日」および10月の「木材利用促進月間」を前に、当社の国産材活用の取り組みをご紹介します。
  • 国内における国産材活用促進の背景

日本の国土面積に占める森林の割合はおよそ66%※とされていますが、そこで育った木の活用はあまり進んでおらず、木材の自給率は37.8%にとどまっています。(下図参照)

国内では、戦後に植林された人工林が資源として利用期を迎え、森林資源循環利用の観点から、伐採し積極的に利用を拡大していくことが求められています。適度な伐採による手入れがされない森林は荒廃し、その結果、森林が持つ水害防止機能の低下や、CO2の吸収機能の低下など、さまざまな問題を引き起こすといわれています。

※1 参考:林野庁「森林資源の現況」(平成29年)

【脱炭素社会の実現】国産木材、賃貸住宅への導入で活用を拡大のサブ画像1

  • 国産材を活用するメリット

国産材を建物の建築に活用することで、以下のようなメリットが生まれます。

・輸送時のCO2排出抑制
輸入材と異なり、長距離運搬が不要なため、建材を輸送する際のCO2排出を抑えることができます。

・国内の森林保全
国産の木材を伐採から建材利用、解体、破棄、そして植林まで循環的に利用することで、森林の成長を促し、森林がもつCO2を吸収する力をさらに高める効果が期待できます。

  • 大東建託が国産材を導入したきっかけ

大東建託が日本で初めて国産材を賃貸住宅に導入したのは2009年、熊本支店の社員の発案がきっかけです。

熊本県は林業の盛んな地域ですが、地元で木材の活用が進まず森林の手入れが行き届かなくなったことで、立ち枯れする木が増え、土砂災害の原因にもなっていました。熊本支店は地元の林業関係者や材木メーカーの「地元の木材を賃貸住宅に活用できないか」という声を受けたことで、国産材導入に向けた検討を始めました。

国産のスギ材は曲げる力に弱く、従来の2×4(ツーバイフォー)造の構造材への利用が難しいという課題がありました。そのため、地元の材木メーカーと連携し、地元産のスギ材を住宅の構造材として導入するための試作と強度試験を繰り返しました。熊本支店と地元の材木メーカー、さらに林野庁と連携した結果、地元産スギ材を利用した2×4造の賃貸住宅の壁を支えるスタッド(間柱)材を開発。賃貸住宅建築への国産材利用が始まりました。

【脱炭素社会の実現】国産木材、賃貸住宅への導入で活用を拡大のサブ画像2_国産スギの導入に向けた強度試験の様子国産スギの導入に向けた強度試験の様子

【脱炭素社会の実現】国産木材、賃貸住宅への導入で活用を拡大のサブ画像3_国産スギを導入した賃貸住宅の1号棟を 建設している様子国産スギを導入した賃貸住宅の1号棟を 建設している様子

  • 全国的な国産材の普及を目指す「国産材マーク」

【脱炭素社会の実現】国産木材、賃貸住宅への導入で活用を拡大のサブ画像4

当社は国産材の利用促進の取り組みを自社にとどめず広く普及させるために、国産材を使用した製品であることを表示する「国産材マーク」を作り、2013年に国産材マーク推進会※2(全国木材組合連合※3)へ譲渡しました。これにより、現在は国産材の全国的な普及に向け、建設業界だけでなく全国のさまざまな業種の企業で国産材マークが利用されています。

※2 国産材マーク推進会:国産材マークの適切な使用を通じて、広く国産材利用の意義・重要性を普及啓発し、国産材利用促進と消費者の製品選択を促し、日本の森林再生に資することを目的として創設されました。

※3 全国木材組合連合会:低炭素社会構築に貢献する木材利用の推進や木材関連産業の健全な発展を図ることで社会経済の発展への寄与を目的とする、木材業界の団体です。
 

  • 大東建託の商品建物における国産材の活用拡大

当社が国産材を活用する地域は、2009年、熊本を皮切りに、2015年には九州全域に拡大しました。2012年には、東日本大震災復興支援の一環として、宮城県でも国産材を導入。さらに2018年には群馬県で県産の木材「ぐんまの木」を導入しました。現在は、九州全域と宮城県、群馬県で当社が建設する木造賃貸住宅のスタッド(間柱)材に国産のスギ材が使用されています。

現在、当社が全国で供給している賃貸建物の約7~8割は木造で、2020年度は建築した全4,731棟(38,329戸)のうち3,329棟(25,078戸)の建物が木造2×4工法でつくられています。このうち、国産材を活用している地域では約1万5千㎥の国産材が使用されています。
 

  • 「CLT※」を通じた国産材活用

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当社は国産材活用の一環として、節や曲がりなど木の欠点部分を取り除き、接着剤で接着することで有効に活用できる木質材料「CLT(直交集成板)」の活用も進めています。

2019年には、CLTを使った独自の工法による賃貸集合住宅「Forterb(フォルターブ)」を、国内で初めて商品化しました。日本初となるCLT集合住宅の商品化によるCLT普及の取り組みに対し、環境省が実施する「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞しました。

CLTを活用することで、これまで鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられていた中層建築物にも、国産材の利用を拡大できます。また、CLT工法は在来工法や2×4工法と比べ、炭素貯蔵効果のある木材の体積が大きくなるため、脱炭素社会の実現にも寄与できます。今後は賃貸建物だけでなく、戸建住宅などへの活用も予定しています。

※CLTとは
CLTはCross Laminated Timberの略称です。ひき板(ラミナ)を並べ、繊維方向が直交(クロス)するように積層接着した木質系材料です。厚みのある大きな板であり、海外では建築の構造材の他、土木用材として橋にも使用されています。
 

  • 脱炭素社会の実現に向けた国産材の活用拡大

政府は2021年6月に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正し(10月1日施行)、公共建築物のみならず民間の建築物においても木材の利用を促進していく方針です。また、木材の活用目的に「脱炭素社会の実現に資すること」が追加され、今後は脱炭素社会の実現に向けて、さらに積極的な木材の活用が求められます。

当社は現在、木造住宅のスタッド(間柱)材に国産材を活用していますが、スタッド材以外の部分への国産材導入も検討しています。また、国産材を導入する地域の拡大や、現在導入されているスギに加え、カラマツやヒノキといった木材の種類も拡大すべく検討を続けていきます。

当社は今後も、建築する建物において国産材の活用を進めることで、国内林業の保護や脱炭素社会実現への貢献につなげます。

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