不動産情報サービスのアットホーム株式会社(本社:東京都大田区 代表取締役社長:鶴森 康史 以下、アットホーム)のグループ会社である、データ解析事業のアットホームラボ株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:大武 義隆 以下、アットホームラボ)は、2024年度人工知能学会全国大会において、アドバンストテクノロジー部 服部 翔による研究発表「Stable Diffusionによる部屋間取りを保持したホームステージング※画像生成」に関して、優秀賞を受賞いたしました。
なお、本研究にて発表した技術は特許を取得しております(特許番号:特許第7542898号)。
※ホームステージングとは:販売、賃貸募集中の住宅やマンションの室内を家具や照明、観葉植物などでモデルルームのように演出すること。
【人工知能学会全国大会について】
人工知能に関する研究の進展と知識の普及を図り、学術・技術ならびに産業・社会の発展に寄与することを目的として設立された一般社団法人人工知能学会主催の学会で、2024年5月28日(火)~31日(金)に静岡県浜松市で開催されました。特に優秀な研究を発表した者に優秀賞が与えられます。
■2024年度 人工知能学会全国大会:https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2024/
■人工知能学会受賞者【全国大会優秀賞】:
https://www.ai-gakkai.or.jp/about/award/jsai_award-conf/#CONFERENCE
【「Stable Diffusionによる部屋間取りを保持したホームステージング画像生成」について】
画像生成AIを活用しホームステージング画像を自動生成するにあたり、従来の画像生成AIで生成した場合、建物の梁や設備などが保持されず、部屋の構造や間取りを無視した家具配置になってしまうという課題がありました。
このような課題を解決するため、画像生成AI「Stable Diffusion」をベースに、家具の配置をしやすくするファインチューニングモデル(家具配置LoCon)と、部屋の間取り構造を維持しやすくするネットワーク(間取り保持ControlNet)の技術を組み合わせました。この2つの技術を用いることで、部屋の構造を忠実に保持した状態で、違和感のない家具配置を自動生成することが可能となっています。「家具配置LoCon」は、さまざまなホームステージング画像を学習しており、これにより正確でバランスの取れた家具配置ができるようになっています。一方、「間取り保持ControlNet」は、部屋の構造を保つために、梁や窓、ドアといった直線的な要素を画像から抽出し、それをもとに部屋の間取りを保ちながら画像を生成する技術です。
これらの技術は、時に相反する性質を持つこともあり、例えば「家具配置LoCon」がソファを壁と床に沿って配置した場合、「間取り保持ControlNet」が部屋の直線要素を保持しようとすることで、家具の配置が制限されることがあります。そこで、プロンプトやパラメータを調整することで、この相反する要求をバランスよく制御し、より自然なホームステージング画像を生成できるようにしています。
さらに「家具配置LoCon」は、特定の部屋スタイルに合わせてモデル自体をカスタマイズすることも可能です。例えば、「南国風な部屋」の画像のみを学習させることで、南国風のインテリアのホームステージング画像を生成できます。
今後は、本技術を応用したさまざまなAIモデルを検討しており、消費者の快適な住まい探し環境の提供および不動産会社の業務効率化など、さまざまなシーンでお役に立てるようさらなる研究を進めてまいります。
【アットホームラボについて】
アットホームのグループ会社であるアットホームラボ株式会社は、不動産関連業務のさらなる効率化の支援や新しい住まい探しの提供を目指して、AIなどの先端技術や不動産ビッグデータの解析・活用により、新たなソリューションの開発・提供を行っています。
“データ&テクノロジーで、不動産に関わる全ての人のお役に立つ”という経営理念に基づき、人手不足対策や働き方改革の実現といった社会課題の解決に貢献してまいります。
<参考>「AIホームステージング」プログラム特許取得のお知らせ
https://athome-inc.jp/news/release/corporate/ai-homestaging-202410/