49.1%が住宅ローン変動金利の0.5%程度上昇を予想も、マンション価格は今後も上昇するとの回答が50%を超過 また、マンションに高い耐震等級を希望していることが判明
■■要旨■■
■住宅ローン変動金利は、全体の93.9%が0.1%以上上昇する可能性が高いと回答、0.5%程度の上昇を予想する回答は49.1%に
■マンション価格は10年後さらに価格が上がると55.2%が予想、上昇割合では価格が今より30%以上あがると11.8%が回答、依然として先高観が強い結果となった
■新築マンションに求める耐震基準では、約30%の方が耐震等級2以上を望む一方、実際には約9割のマンションが耐震等級1で建設されており、消費者の安全性へのニーズと供給状況に明確なギャップがあることがわかった
分譲マンション購入・売却検討者31万人を有する不動産のセカンドオピニオンサイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/ 運営:スタイルアクト株式会社 東京都中央区・代表取締役:沖有人)は、今回で67回目となるマンション購入検討者の定例意識調査を行いました。
本調査は、自社Webサイト「住まいサーフィン」の登録会員31万人のうち、 直近3か月間に新築マンションの販売センターに行った経験がある人のみを対象とし、マンション購入に対するアンケートを実施しています。
当社ではマンション購入検討者の心理動向を四半期単位で時系列比較しています。一部調査結果については、購入希望エリアを「東京23区」と「その他」へ分けた詳細も公表しています。(第1回は2008年4月、今回で67回目)
■■ マンション購入に対する意識調査概要 ■■
【調査対象】
自社Webインターネットサイト「住まいサーフィン」の登録会員31万人のうち、 直近3か月間に新築マンションの販売センターに行った経験がある人
【調査期間と回収サンプル数】
第58回2022年07月15日~19日(233件)第59回2022年10月07日~12日(256件)
第60回2023年01月06日~11日(226件)第61回2023年04月07日~12日(207件)
第62回2023年07月06日~11日(223件)第63回2023年10月5日~10日(208件)
第64回2024年01月11日~16日(217件)第65回2024年04月5日~10日(245件)
第66回2024年07月05日~15日(188件)第67回2024年10月7日~15日(212件)
【調査地域】 全国
【調査方法】 自社Webサイト「住まいサーフィン( https://www.sumai-surfin.com/ )」
■■ マンション購入に対する意識調査結果 ■■
住宅ローンの変動金利については、大手銀行が次々と引き上げを発表していることから、多くの消費者が今後の上昇を予想しています。調査結果をみると、全体の93.9%が住宅ローン変動金利は今後上昇するとの予想をしており、その中でも0.5%程度の上昇を予想する回答が49.1%に達しています。
また、「金利が上がる前にマンションを購入したい」と考える割合は全体の55.6%と、1年前と比較して約10%減少し、金利上昇の現実を受け止める消費者の心理を反映していると言えそうです。
一方で、今後のマンション価格に関する回答では、半数以上の人が今後も値上がりが続くと考えており、2年後のマンション価格については、全体の64.1%の人が現在の価格よりもさらに上昇すると予想しています。また、10年後のマンション価格についても、現在の価格より上がると考えている人は全体の55.2%に達し、30%以上の上昇を予想する人は11.8%に上っています。特に都市部では土地の供給も限られているため、人件費や建築コストの高騰と重なり、今後もマンション市場は高値で推移していくとみられています。
また、新築マンションに求める耐震基準(※1)についての調査結果を見てみると、消費者が望む耐震基準と実際に提供されている基準には明らかな違いがあることが分かりました。近年、大きな地震が複数回発生していることから、消費者の地震への関心が高まり、安全性を重視する傾向が強まっています。実際、約30%の方が耐震等級2以上を求めていると回答しています。
しかしながら、一般社団法人住宅性能評価・表示協会の資料(※2)によれば、共同住宅の耐震基準としては89.1%が耐震等級1で建設されており、特にマンションなどの鉄筋コンクリート(RC)造ではこの割合が93.6%に達しています。木造や鉄骨造のプレハブ工法はデザイン等に制限が出るデメリットはありますが、耐震等級3の物件も多く見受けられます。しかし、鉄筋コンクリート(RC)造の耐震等級3の建物は、防災拠点となる公共施設等に求められるレベルであるため、居住性やデザイン面、また建築コストを考慮すると一般のマンションではその基準を満たすことが難しく、住宅に安全を求める消費者のニーズと市場の供給状況には明確な差があることが浮き彫りになりました。
※1 耐震基準について
・耐震等級1: 建築基準法の耐震性能を満たし、数百年に一度の大きな地震(震度6強から7程度)に対して倒壊しない程度、数十年に一度の地震(震度5程度)では損傷しないレベル。
・耐震等級2: 耐震等級1級の1.25倍の地震に耐えられる性能。公共施設(例:学校)などの災害時の避難所として指定される建物はこの基準で建設されている。
・耐震等級3: 耐震等級1級の1.5倍の地震に耐えられる性能。住宅性能表示制度で定められた中で最も高いレベルで、災害時の救護活動や復興の拠点となる消防署や警察署の多くがこの基準で建設されている。
※2 一般社団法人住宅性能評価・表示協会の資料
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/kokai/R04/pdf/kyodo_all.pdf
■■ 調査結果詳細 ■■
図1:変動金利はどうなるか
≪ポイント≫ 住宅ローン変動金利は、全体の93.9%が0.1%以上上昇する可能性が高いと回答、0.5%程度の上昇を予想する回答は49.1%にのぼる
図2:金利が上がる前に購入したいか
≪ポイント≫「金利が上がる前に購入したい」と考える割合は全体の55.6%と、1年前と比較して約10%減少
図3:今後のマンション価格
≪ポイント≫10年後55.2%がさらに価格が上がると予想、上昇割合では価格が今より30%以上あがるとの回答が11.8%、未だ先高観が強い結果となった
図4:新築マンションに求める耐震基準
≪ポイント≫約30%の方が耐震等級2以上を新築マンションに求めている
この調査結果は、住まいサーフィンでもご覧いただけます。
https://www.sumai-surfin.com/bigdata-analysis/enquete-result/id25_67.php
住まいサーフィン サイト概要
マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト。2004年より会員制に移行し、マンションの売買をする時に知りたい情報を”見える化”、購入・売却検討者が知ることが難しかった不動産情報を提供し、持ち家取得を後押ししている。マンションの査定価格・相場情報と会員の物件評価・デベロッパー評価などの豊富なコンテンツを持つ。中古マンション販売データ約280万件、賃貸データ約1億件を保有し、会員数は31万人(2024年10月時点)を超える業界最大級の不動産ビッグデータカンパニーとして、不動産情報を調査・分析するスタイルアクト株式会社が運営している。
スタイルアクト株式会社代表 沖有人
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクト株式会社を設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意としている。設立当初から運営している分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)の会員数は、現在31万人を超える。中でも、自宅投資の基礎や今後の不動産市況などを沖自ら解説している「沖レク動画」は人気コンテンツとなっている。
『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。